地獄へまっしぐら
Danny Boy - Cait O'Riordan
http://www.youtube.com/watch?v=e96nVYdYQPA
先日のエントリ(タイトル、ほんのちょっとクラッシュのアルバムにひっかけてみたんですが)の中で書ききれなかったことを少し。上の動画はそのアレックス・コックスの大娯楽カルトムービー『ストレート・トゥ・ヘル(Straight To Hell)』(87年)の中で、ケイト・オリオーダンがアイルランドのトラディショナル・フォーク『ダニー・ボーイ』 を歌う場面です。
今は亡きジョー・ストラマーですよ…。カメラがずーっと引くと、『最後の晩餐』の典型的構図になっていますね。テーブルについているのも13人…かな?(レオナルド・ダ・ヴィンチの名画にも背景に3つの窓が描かれているけど、あれは聖三位一体の象徴という意味合いがある)そしてこの「晩餐」のシーンはまさにラストの「地獄へまっしぐら」な大銃撃戦を暗示しているのよね。
銀行で大金を強奪して逃走中の殺し屋3人組にサイ・リチャードソン、ジョー・ストラマー、ディック・ルード。サイの女房にコートニー・ラブ、町を牛耳るマクマホン一家のチンピラにザ・ポーグス、一家の執事にエルヴィス・コステロ。さらにデニス・ホッパー、ジム・ジャームッシュ等々キャストは豪華といっていいのか異色といっていいのか言葉に迷う。コックスはポーグスやストラマーといった非俳優の演技に懸念を抱いていたそうだけど、ほぼ地で行く配役なので特別問題ないです。(むしろポーグスのシケたチンピラぶりなどは圧倒的ホンモノ)
マカロニ・ウェスタンとフィルム・ノワールへのパンキッシュなオマージュともいうべき本作は、内輪の悪ノリと取られても仕方ない面もありますが、コックス自身は「人生で最も楽しんで最も純粋に作った作品であり一番愛しい映画だ」と語っていて、それはそのとおりだと思う。
『ストレート・トゥ・ヘル』のストーリーは、結局すべてはいきなり躁状態で現れ風のように去ったアメリカの石油王(デニス・ホッパー)の手のひらの上、という皮肉な結末なのですが、パンク・スピリットを貫くイギリス人であるコックスはその次作として、1850年代にニカラグアに遠征して自ら大統領に就任し独裁者となったアメリカの黒歴史、ウィリアム・ウォーカーの半生を描いた『ウォーカー』(87年)を撮ります。この映画の中に時代考証を無視して現れる現代アメリカの風俗やラストで飛来するヘリコプター部隊は、アメリカの軍事干渉が決して過去の出来事ではないことを暗示しています。
つまりコックスは『ウォーカー』でレーガン政権のニカラグアへの干渉を痛烈に批判してハリウッドに喧嘩を売り見事に玉砕するわけなんだけど、彼の映画は私にとってはタランティーノのそれよりも「愛おしい」。

ビザール・ラブ・トライアングル(映画“バッド・エデュケーション”)

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