【自転車】
この100回記念節目のツール・ド・フランスで、個人的に最も印象深かったのは、風の中の第13ステージ。
もしかしたらあまり「モダンな」レースではないのかもしれない…自然現象とアクシデントとそれぞれのチーム・選手の思惑がレースの管理を凌駕した、スリリングでスペクタクルなステージだったように思う。
まず残り110キロほどの地点で、横風の吹きつける中を一気にスピードアップしたOPQSと、なんとなく利害が一致したベルキンの引きが、プロトンをずたずたに分断した。
さらに残り30キロで、今度はコンタドール擁するサクソ・ティンコフが突如リスク覚悟の猛アタックを仕掛けた。
ことの急展開に、無線に向かって叫び続けるマイヨジョーヌの姿はみるみる後方に遠ざかった。
一瞬の判断で、このハイスピードの逃げ集団に乗ったOPQSは3人。TT得意のシャヴァネルがエーススプリンターを引っぱり、テルプストラがサガンのキャノンデールに牽制をかけた。仕上げにカヴは、この豪華なケーキのてっぺんに赤い敢闘のサクランボをのせた。
サクソ・ティンコフのアタックの瞬間、逃げる選手達の後ろに、ちぎられかけたカヴを引っぱり上げてまた戻っていくクヴィアトコウスキーの白いマイヨが見えた。
もしかすると私は、カヴがシャンゼリゼの連勝を逃したことより、アシスト陣の努力が報われなかったことに胸が痛んだかも。大会の間、ゴールスプリントのために自分の貴重なチャンスを犠牲にしたかもしれない選手達。
その日のSport24のテキストライブは、「チームメイトのシャヴァネルの働きをたたえるカヴェンディッシュの、このイメージでお別れです」、と記して画像を掲載し、実況を締めくくった。
その写真。