日曜の未明に仏南部ミヨー市街で、宿泊ホテルに戻る途中のASMクレルモン・オーヴェルニュの選手達が刃物を持った約10人の男に襲われ、主将とフッカーとワイルド2列の3人が病院へ─
20日、クラブの公式サイトに掲載されたコミュニケは、そんな突拍子もなく物騒な内容だった。ラグビーではめったに聞かないような話であることはもちろん、サッカーのこの種の(選手を標的とした)暴力事件と比較しても、明らかに「武装」がシャレにならない。マシェット?刀?サバイバルナイフ?
まあコミュニケについては、クレルモンのスポーツディレクターが話を盛る傾向にある点を考慮する必要もあり、また何より、事件が起きたのがプレシーズンキャンプ地ファルゴに移動する途上であることから、たとえばサポーターとの確執のような、ラグビーの文脈ではなさそう。
わざわざジャージ姿のガチムチ大男の集団をターゲットに選ぶ強盗もいないだろうし、となると残る可能性は…ありがちな夜のお出かけのトラブルとか…
結論としては果たしてその通り。容疑者はすでにミヨーの警察が確保し、現時点で5人。どうも札付きの若者達らしい。
動機はまだはっきりしていないものの、クレルモントワが立ち寄った2軒目のクラブでのトラブルがきっかけと見られている。店側はいずれも異常があったかどうかには気づかず、選手達はおだやかに楽しく過ごしていたようだったと証言しているのだけど、この夜クレルモントワと一緒に回っていた地元の青年によれば、閉店時にドア付近で険悪な言い争いがあったという。
その場はルージュリーがなだめ、しかし店を出て数百メートル歩いたところで、スクーターに乗り待ち伏せていた件の若者達が襲いかかった。青年自身もケイゼルを庇った時に手に怪我を負った。
地元青年の話と照らし合わせれば、公式サイトのコミュニケはやっぱり人数や武器などを軽ーく盛ったかなという気はする。
警察・司法側のソースでは、選手達が店を出る時、1人の男性客が“知人の”若い女性を荒々しくののしっているところにクレルモントワの1人(ルージュリー)が間に入り、落ち着くように言った。青年の目撃証言はその時のことと思われ、とすると、襲撃者達が動機に関して口をつぐんでいる理由も何となく推測できるような…
付け加えると、選手達は(襲撃者達とは反対に)特に酔ってはいなかったみたいだ。
クレルモンの負傷者はケイゼルが腕に切り傷、ルージュリーが肘をスコップで殴られ、最も重傷だったピエールは腰の縫合手術を受けた後でクレルモン=フェランに帰宅した。
ルージュリーとケイゼルはキャンプに合流したものの、3人とも通常のトレーニングに戻るまで1ヶ月前後はかかりそう。シーズンの準備の大事な時期に、クラブにとってあまりにも想定外の打撃。
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