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2013.01.04

【音楽】 深海へ、天空へ、 (Orcas)

Orcas - Little A Strongly More Grow I
http://www.youtube.com/watch?v=El-E877rDSI

私は年間ベスト的な企画にはそれほど興味が無いんだけれど、昨年聴いた(数少ない)新譜の中では、やっぱりOrcasのアルバムがとても素敵だった。

↑の曲はそのボーナストラック。アルバムの孤高感漂うトーンとはまた少し違った雰囲気です。
オリジナルはGhostlyのオムニバスに収録されていたブノワの曲で、OrcasのバージョンはちょっぴりアレンジがDシルヴィアンと坂本教授のForbidden Coloursっぽい?と思ったのはたぶん正解(´∀`)

Im

そもそもOrcasのネーミングの由来は、トムさんとイリサリがアルバムを制作したアメリカ北西部パシフィック・ノースウェストにぴったりの表象だと考えたかららしい。
秩序ある堂々とした、時にバイオレントにもなる生きもの。彼らはその名前に闇と深淵のイメージを込めると同時に、彼らの拠点"Oregon"(ポートランド)と"Cascadia"(シアトル)の地名を織り込んだのです。


お二方は2009年のデシベル・フェスをきっかけに親しくなって、最初は「The Sight Belowの曲で歌ってみない?」くらいの話だったらしいのだけど、数ヶ月後にイリサリのホームスタジオで一緒にインプロビゼーションを始めて、1年近くの間トムさんが週末シアトルに滞在しながらワークを進めた。
その集成が、昨年春にMorr Musicからリリースされた同名のアルバム。

イリサリはすでにThe Sight Belowのジョイ・ディヴィジョンのカバーでボーカルを入れる試みをしていて、一方、トムさんは録音とマニピュレートに関してはいささかシンプルすぎるほどの技術しか持っていなかった。
その彼らのコラボレーションは相補的に働いて、互いのワークを尊重しながら、双方の個性(いわゆるヘイズ・ポップとミニマル・ポスト=クラシカル?)の単純なミックスにとどまらない音楽を完成させました。

それぞれの長所…イリサリは主に曲のインストゥルメンタル&アトモスフェリックなパートを、トムさんはストラクチュアルなパートとリリカルなパートを分担し、演奏の面ではおおむねフィフティ・フィフティで役割を分けたといいます。


「トムとのワーキングはとてもハーモニアスだった。僕達は美的なものに関して考え方がよく似ているから」、とイリサリは言ってた。
アルバムを聴けば、それはテンポラリーな共作というよりは、1つの独立したユニットというにふさわしいものです。

時にはツイン・ピークスの撮影地に潜入してフィールドレコーディングを行ったりしながら実験的ワークを重ね、そして完成したこのひりひりするように美しいアルバムは、アコースティックとエレクトロニック、アブストラクトとストラクチャーの、幸福な融合のかたち。
意識の奥深くに引き込むかと思えば、また覚醒を促すノイズ(少しへそ曲がりな)。上昇と下降、空間の広がりはディティールに満たされ、ボーカルは、織りなす音響のはざまの絹擦れの音のようにそこに存在しています。ブノワの時よりも幾分、深海の潮流のようにフルイドに、メランコリックに、時に官能的に。

アルバムの中で1曲、雰囲気が違うと感じた"Until Then"は、ブロードキャストのカバーでした。
前年亡くなったボーカリストのトリッシュ・キーナンに捧げられた、美しいオマージュ。わき上がるノイズが痛切です。


itunes.apple.com/jp/album/orcas/id496009494

Bprai

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