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2012.12.05

【写真】

鑑賞する側の立場としては、ストイックで静謐な写真が好きだ。それが高度であるなら、何より豊穣な表現になりうる。そこに写真家が美意識に基づいて厳しく切り捨てたものの記録を読み取ることができれば。


何年も前の話になるけれど、ある日本の女性写真家の作品がとても気に入って、これほど自分の意識のどこか奥深い部分に触れてくる写真はないと思った。
日本のごくありふれた風景。しかし見慣れたようで、どこにも実在しない風景のようでもあった。無人の…それは静謐というよりは沈黙だった。

それからしばらく後になって、そのひとが亡くなっていたことを偶然知った。自殺だったという話だけれどよく分からない。
それは考えさせられる事実だった。以前彼女の写真集に触れて書いたエントリを読み直すと、自分は明らかに写真の中に死の気配を感じて、そこに共鳴していた。

あの文は思い出といったセンチメンタリズムではなく、圧倒的な喪失についての話だ。他人から、この人は実は少し頭がおかしいんじゃないかと思われるようなものが書きたくて書いた。
私が子供の頃になくした、あの懐かしい麦藁帽をまた拾い上げることがあるとしたら(まるで彼女の写真のような風景の中で)、それは私が死んだ時に他ならないのだから。

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