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2011.10.26

【ラグビー】  C'était écrit

Hakafinal_22011年ワールドカップ決勝
フランス×NZ 7-8


結末は最初から決まっていたんだ、そんな宿命論的言説が散見されるフランスのメディア。
しかし自らとフランスラグビーの名誉のために、既に書かれた物語(後はピリオドを打つだけの)を断じて受け入れず、ワールドカップのファイナリストにふさわしいことを示した、フランス代表の孤立無援のレジスタンスには心から拍手を贈りたいです。
シャンパン?ええきっとどこかのカーブの奥でビネガーにね…

ワールドカップ自体は高度に商業的かつ政治的性格の興行で、スポーツの文脈だけで話すのは難しい。
ここに拾い集めたことが決勝のすべてだとはもちろん言わないけれど、公的ラグビー史には記されることのないだろう、少なくとも物語の半分ではないかと思います。

だからこのエントリは、フランスラグビーファンの方だけが読んでいただければいいと思う。

                        Laceg_2

上の画像は説明不要だけれど、ついつい調子こいてハカに近づきすぎちゃったフランスは、IRBから罰金2875ユーロをくらったそうだ。

映像確認。自陣10メートルライン(ここが所定の位置)で手をつなぎ勝利のVサインを作ったフランス代表は、主将を先頭に∧のまま前進してハーフウェイライン上で一旦停止。そして入れ込む選手達によってM字(MはミラクルのMだから!)に陣形が崩れたまま、ラインを越えてさらにじわじわとハカの皆さんに接近。左でルージュリーが一歩前に出ているように見えるけど、肩をがっちりホールドしたまま押しまくるバルたんを抑えているようにも見える…
主将は、もう俺達オールブラックスにチューしに行っちゃおうぜ、という勢いの選手達をなだめるのに懸命だったっぽい。ちょっと遅かったかな…

                        Laceg_2

スポーツでは誰かの不運は誰かの幸運。最後に挽回の機会がめぐってきたトラン=デュック他のコメント。
会見で選手達に最後に一言、と訊かれたリエヴルモンは、本当にたった一言、「メルシー」とだけ答えた。


「NZは勝利にふさわしい。私はいつも、あのチームは世界最高だと思っていた。しかし今夜素晴らしかったのはフランス代表だ。ある国の全国民と戦うのは厳しかった」
(リエヴルモン)

「僕達はとても厳しい道のりを歩んできた。僕達が本当に1つのチーム、固く連帯した仲間になったと思ったのはそこだ。トンガ戦の後で、僕達は団結した。それが僕達を決勝に導いた…みんなが僕達の地獄を予想した決勝に。僕達はかなりうまく切り抜けた。たとえ1ポイント足りなかったとしてもね」
(トラン=デュック)

「全身全霊で戦った。僕達は悔いのない試合をしようと思っていたし、グラウンドで死んでもいいくらいの覚悟だった。僕達にはちょっとしたきっかけが足りなかった」
(ヤシュヴィリ)

「ラグビーはブラックスが王者になることを望んだ。でも今夜は決してブラックスとマイヨの交換はしない。僕達は母国を代表してとてもいい試合をしたけれど、運命は僕達をチャンピオンにしてはくれなかった。このチームの道のりはまっすぐではなかった。でもそれは豪奢なものだ」
(パペ)

「僕達はよく戦ったけれど、それでは十分ではなかった。耐え難いことだ…。僕達は自分が真のラグビー選手であることを示した。フランス代表のサポーターに感動を与えることができたならいいのだけどね。
チーム全員が誇らしく思っていい。僕達はラグビーではメンタルもまた重要だということを示せた。というのは、彼らほどの才能はなくとも彼らを危ぶませたんだから。それは一番重要なことではないかもしれないけれどね、勝ったのは彼らなんだし。いずれにせよ、僕達は胸を張って帰国できる」
(デュソトワール)

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個人的には、レフェリングについては試合を通した一貫性を考えることが多いかもしれない。ラテンに対する笛の不公平は、フランスではお決まりの話題です。
彼らはそれを分かっているから、インターナショナルレフェリーを招いてアドバイスを受けたのだろうと思うし、いくつかの試合ではファウルを犯さないようなゲーム運びをするほかなかった。

この決勝の後、少なくともフランスでは、レフェリングの問題はまたも議論の中心でした。少なからぬフランス人が、特にラックやスクラムで、ジュベールレフェリーがNZにかなりの"心遣い"をしたように感じている。
とはいえ試合後の会見で、リエヴルモンとデュソトワールは論争を避けたがった。リエヴルモンは試合の前から、レフェリングに抗議はしないと決めていたことを明かしています。

「私は2日前に彼(ジュベール)に会った。私は彼に、自分にとってあなたは世界最高のレフェリーの1人だと言った。それから、プレッシャーは非常にきついだろうし誰しも間違えることがあるかもしれない、とも言った。私はこの試合の間たとえ何が起ころうと、レフェリングについては何も言わないと約束した」
(リエヴルモン)

「レフェリーを批判したくはない。僕達は最後のペナルティを獲得するために、すべきことをしなかったのかもしれない」
(デュソトワール)


もちろん選手達はそんな誓いは何も立てていない。ロッカールームを出たばかりの彼らは、多かれ少なかれ彼らの考えていることを口にした。
そしてパペが要約したように、彼らは本当のところ、やはりレフェリングはダブルスタンダードだったと感じている。

「レフェリーは僕達にはPGを与えたくなかった。それでも笛を吹いていいラックがいくつかあった」
(ヤシュヴィリ)

「ウィプーに耳を殴られたんだ。そこからは何も聞こえなかったし、今でもまだよく聞こえない。レフェリーは笛を吹かなかった」
(メルモズ)

彼らの中で、最も怒りをあらわにしていた1人はザルゼウスキ。

「カイノは何度もファウルを犯したし、マコウは彼のやりたいことをやったけれど、彼らは笛を吹かれなかった。ムッシュ・ジュベールには勇気がなかったよ。僕達は16対15でプレーした。ワールドカップの決勝のような試合を戦う時には、公平なやり方で裁かれたいと思うものだ。でも今夜はそうじゃなかった。
彼(ジュベール)は僕達のことは何一つ見逃さなかった。彼らに対してはずっと冷静だったのに。はっきり言って、僕は40ポイントくらった方がましだった」

「みんながNZの勝利を望んでいた。だから人々はそれが当然だと思うだろう。全ラグビー界が僕達の敵だった。ピナールやティンダル、クエトーのような、僕が心から尊敬している偉大な選手達が公然と僕達を批判した。
この8年来NZは世界最高のチームだったし、彼らが優勝したのはいいことだ。でも今夜、彼らは勝利にふさわしくなかった」
(ザルゼウスキ)

バルセラは、"いつものフレーズ"で話をしめくくった。
「たとえ僕達が試合を盗まれたような気がしてるとしても、それはゲームの一部だ」


特筆すべきは、本国フランスでトゥーロン会長のブジェラルが、"世界最高のレフェリー"を銀行強盗呼ばわりする、例によって毒々しい発言をしていることでしょうか。
本当のことを言うと、私はフランスとNZの試合ではブジェラルはどちらを応援するのだろう、といぶかしんでいた。ちょっと見直し…いやいや…

Higerct2_4<「フランス代表は素晴らしかったが、レフェリングは恥だった。ムッシュ・ジュベールはレフェリー界のスパジアリだね。彼は下水道を通って我々のワールドカップを奪った。まったくもってスキャンダラスだ。あまりにプレッシャーがきつくて、彼はもう一方に試合を傾けたんだろう」

                        Laceg_2

ルージュリーが先週の会見でジャーナリストを挑発して、何人かのジャーナリストが憤然と退席した件について、彼自身が説明してます。
まあ途中退席したのはレキップやミディ・オランピックといった仏メディアじゃないような気がする。最後まで記事書いてたから。私の職業的経験からだけれど、仮にもプロのジャーナリストがこの程度のことで自国ネタについて紙面に穴を開けるのは考えにくいし、何より彼らは最後までじっくり聞いてねっちりイヤミを書くタイプだ。
この煽り耐性の弱そうな感じは、たぶん…

ルージュリーのシニカルな発言自体はジャーナリストへの的確な"批評"だと思うけれど、仏代表・クレルモン主将としての立場と責任がある彼は、いろいろあったワールドカップの終わりにジャーナリストと握手をし直すことにした。


「すべてはちょっとしたロール・プレイングだった、もちろんね。大勢の人がそれを理解してくれて、僕は何人かにその話をした。
トンガ戦の後、僕達には団結の必要があったけど、僕達はジャーナリストがセンセーショナルなことを探し求めているのに気づいていた。そのせいで大勢の若手が混乱した。だから、僕達ベテランは自己責任で行動を起こさなければならなかったんだ」

「それが、あなた達(ジャーナリスト)をあんな風に挑発した理由だ。あれは僕がもうTop14の決勝の前にクレルモンでやったこと。パラやメダール、メルモズ、パリソンのような若手に対する働きかけを落ち着かせるための、牽制みたいなものさ。
あれが最良の解決策だったのかは分からないし、自分が正しいとは言わない。だから、ちょっと自分の非を認めるよ。もし気分を害した人がいたのなら申し訳なかった」

                        Laceg_2

ディフェンスでヒロイック、自らフランスの唯一のトライも挙げ、常にグラウンドの模範だった静かなる男デュソトワール。彼はIRBの年間最優秀選手に選ばれた。
たとえ何かバランス的なことが頭をよぎるにしても、文句ない選考だと思う。努力が報われた主将、おめでとう。大変だったよね…

Decuslesfrancais

主将ステキ!と思ってしまったあなたに

Thierryd

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Comments

4年ぶりくらいに書き込みしてしまいました。いつも黙って読み逃げしていて恐縮ですが、とても楽しませて頂いてます!

フランス、惜しかったですね〜。もー、コメントうるうるしながら読みました。あの日曜日から興奮覚めやらず悔しい毎日を送っておりましたが、最優秀選手にフランスからデュソトワールが選ばれて、何だか胸のつかえが取れたような気分です。
最後の写真も‥(*´v゚*)ゞ

あと、ハカのとき列が曲がってるのはそういう訳だったのですね。謎が解決しました!ありがとうございます。

Posted by: パン | 2011.10.26 at 17:56

わ~い(◎´∀`)ノ パンさん、こんにちは!

も~、カップまで1点差!
でも最後の最後にいい試合を見せてもらって、「これで満足だよ」と思っていたのですが、選手のコメントを読んだら…無念だったんだろうなあ、って。
リエヴルモンの発言の歯切れの悪さを見ても、ワールドカップはやっぱりいろいろあるのかな、と思ってしまいました。

でも、いつのまにやらちゃっかりスポットライトの下にいるラテン男の要領の良さ、好きです
ハカの列、右側で引っぱってるのはピエールかな?さすがトラ出没地をサンダル履きで散歩する男…
先頭で前進するデュソトワール、毅然としてカッコよかったですね。メダールとかは、こういう時はやっぱりどこにいるのか分からない(^-^) FW、お願い!ですねー。

またいい画像見つけたらアップします!後ろはセルヴァだけど(ゴメン)、この写真ステキ。

会期中、久しぶりにドミニシの元気そうな顔を見る機会が多くて、これも嬉しかったです。

Posted by: つき | 2011.10.26 at 21:03

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