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2011.08.29

【スペイン闘牛、フランス闘牛】 ビルバオ、8日め

ビルバオのフェリア8日目。エル・シド(耳1)、セバスティアン・カステラ、ホセ・マリア・マンサナレス。
雨の切れ間か、砂場はこの日もじっとりと湿っている。入場の時には青空ものぞいたけれど、すぐに灰色の雲に覆われた。


エル・ピラールの牛は闘争的で誇り高く、闘牛士の支配を甘んじて受け入れようとはしなかった。とりわけ自分より大きいもの…馬に対する攻撃は猛烈で、ピカドール達には受難の午後になった。
1頭目と2頭目はまあ普通の大きさの牛だった気がするけれど、あとは大体600キロ以上あり、しかもこのサイズでも機動力がある恐るべき牛たちだった。

特にマンサナレスの1頭目(3頭目)は足が弱くて交換になり、出てきたのは683キロの大牛。2度馬を持ち上げてひっくり返し、ピカドールをしたたか落馬させた。この後彼のバンデリジェロがいい銛打ちをして、ムレタの始まりを助けた。
マンサナレスはいつものように毅然としてこの怪物に対峙したけれど、ファエナも落ち着かず、汗だくで、彼はデスカベジョで自分の手を傷つけさえした。彼は前にも自分の剣で同じ親指の靱帯を切り、今でもテーピングをしている。

彼の2頭目もすごかった。押されたピカドールは苦しまぎれに槍で牛を傷つけすぎたように見えたけれど、ほとんど関係なかった。
たくましい体つきのマンサナレスは苦しみながらもよくつないで威厳を示し、もし剣が成功していたら耳が出ていたと思う。残念なことに、この日の彼は剣が良くなく、努力は報われなかった。でも無理もない…

                        Laceg_2

セバスティアンの1頭目(2頭目)のファエナには、耳が1枚は出るだろうと思った。事実、観客はハンカチを出さなかった主催者にブーイングを飛ばした。
牛はカポーテに対して集中に欠け、やや散漫で緩慢で足元の危なっかしい牛に見えた。この牛が気高く見えたなら、そうしたのはたぶん闘牛士だ。

セバスティアンとクアドリージャは槍と銛の場でいくつかミスをして、雰囲気を変えようとしてか、セバスティアンはきれいなキテもやってみせた。
しかし観客がシドさん(1頭目)の耳に満足した後で、おそらく牛への落胆もあって、ムレタは少し沈んだ奇妙な空気の中で始まった。

目を引く演出もなく始まった最初のパセのシークエンスで、セバスティアンはしかし「やれる」と感じたようだった。砂場の真ん中に牛を誘い、観客席に向かって、人差し指を口に当てて沈黙を求めた。
静寂の中、セバスティアンは丁寧に、かなり集中して、ムレタで牛を導いた。観客席から拍手、音楽が始まる。

セバスティアンはマノレティーナも試みたけれど、一度通しただけであきらめた。しかし彼のダウンテンポとコンセントレイションのファエナは、また違ったエモーションを喚起したように思う…ただ、主催者はそれを共有しなかった。
牛の最期はとりわけ印象的だった。多くの場合、剣が決まった後、瀕死の牛はうずくまってクアドリージャがとどめをさすことになるのだけれど、この牛は前足をつき半ばくずおれながらも、最後まで後脚を踏ん張り、ひざまづいたセバスティアンが見守る前で、どうと倒れた時にはすでに事切れていた。


セバスティアンの2頭目で、彼が投げた帽子はさかさまに砂の上に落ちた。
彼はファエナの最初から、牛と見合って「こいつはやばい」という顔をしていた。大きいけれど機敏な牛で、パセして向き直った瞬間にムレタと人間を見比べている。きれいにパセをつなげさせてくれる牛には見えない…というか、下手につなごうとしたら、やられそうな牛。
剣は2回とも、真ん中に入れることができなかった。最後まで自分の形が作れず、だから、この闘牛は牛の勝ち…

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全員がクタクタで終っただろうこの午後、牛に恵まれ、唯一自分のペースに持ち込んでファエナができたのはベテランのシドさんだった。1頭目では耳を1枚取って、フェリアのスカーフを巻き幸せなブエルタをした。
自分でも大納得の出来に、ファエナの最中から笑顔が抑えきれない。この方のリアクションは、いつも分かりやすい。

同じバスク文化圏でも、ビルバオのアレーヌはパンプローナの騒々しさとはまた雰囲気が違う。もうちょっとブルジョワっぽいというか…フランスバスクで言うなら、バイヨンヌに対するビアリッツみたいな印象。
マンサナレスの3頭目で交換があった時(牛はお迎えの牛たちに関係なく自分ひとりでトリルに帰った)、闘牛場の清掃係がマンソ牛たちの落とし物をスコップですくい上げてバケツに放り込むたびに、オーレオーレと声援が飛ぶ。これには実況のマノロさん達も大笑いだった。


ホセマリと、683キロ!トレロがフリとかだったら、もっとすごい絵になってた気がする。

Josemari

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