ツールも山岳ステージに入ると、どうも落車しがちな自分なのですが、それは私自身がディープ山国育ちのため、「もう山は一生分見た」という気持ちがどこかにないわけじゃありません。
アルプスに入るとまた、氷河地形萌えというオプションはありますけれども。
子供の頃、夏休みに海に連れて行ってもらうのは一大イベントでした。なにしろ海産物といえば油焼けしたアジの干物となまり節の煮付けという田舎町。水平線のミニマリズムに圧倒され、そして海風に当たって体調を崩した。
プロトンが山岳を抜け、海が近づいてくる時の開放感が好きです。どうでもいい話でしたね。

ツール・ド・フランス先週後半はピレネーの3連戦。ステージ優勝や総合争いの行方以外に、ピュアスプリンター好きにとっては、「はたして時間内にゴールできるのか」という追加のサスペンスも付いてお得。
ステージの個人順位とタイム(ケツの方)を一覧するだけでも、HTCの選手たちがプラトー・ド・ベイユで、半泣きのカヴェンディッシュを懸命に引っ張っている様は容易に想像できます。
今季はまさかの「登れるカヴ」かと思われましたが、まあさすがに超級となりますと、いつもどおりの安定感ある遅れっぷりです。
ちぎれるカヴェンディッシュ、それは自転車ファンにクライマーたちの激闘の始まりを告げる映像です。
「せんせーカヴ君が車につかまって登っています!」という告発は、もはや定番中の定番といえる話題ですが、ジロのベントソに続いて、金曜、モヴィスターのロハスがスペインのメディアに、「峠の上りではカメラはヤツの後をつけてみるといいじゃないかな」的な話をぶっちゃけたと。
モヴィスターのマネージャー氏はオトナの対応をした。
「ロハスはそうは言ってないし、私はカヴェンディッシュがいんちきをしたとは思わない。いずれにせよ、それは役員が責任を持つべきことだ」
金曜の第13ステージで最後尾にいたFDJのウィリアム・ボネ(14ステージでタイムアウト)は、「役員が背を向けるや選手の何人かがつかまるのを見た」、と断言している。名前は挙げてませんが。
一方で別の証人、棄権選手収容車の運転手アラン・ダニエル氏は、カヴの無実を証言しているそうだ。
「カヴェンディッシュは最後の数キロでグルペットからちぎれ、我々の車のすぐ前を走っていましたが、私は彼が車につかまるところは一度も見ていませんよ」
さあどうでしょう(・∀・)
私自身はカヴに限らず、スプリンターのこういうのは、程度の問題はあれちょっと大目に見てあげたくなるんだけどネ。
正攻法ではあかんので、「アルプスでヤツをタイムアウトに追い込む」的なえげつないことを言ってるお方もいるみたいだけど、そんなんでいいの?

その頃、ル・シャンボン=シュル=リニョンではラグビーフランス代表が、ひそかに青のマイヨを白地に赤い水玉のマイヨに着替えていた。(嘘)
代表の宿泊しているホテルは、町の坂の上。スタッフのサディスティックなホテル選びにより、選手たちは1日2回、ホテルとトレーニング場間を自転車で上り下りするはめになった。疲れた体にむち打つ帰り道の上りは、選手にとってはさながらツールの激坂であります。
さて代表には金曜、サン・ラファエルのCERSでリハビリに励んでいたルージュリーとドミンゴが合流し、ルージュリーは負傷後初めてランニングを再開。
土曜の夜には、選手たちはル・シャンボン=シュル=リニョンから数キロのトンスに向かい、ビーチラグビーのトーナメントの表彰式に出席しました。サポーターの熱烈歓迎を受ける選手たち。そしてスピーカーは、パペの誕生日のお祝いをアナウンスした…
ハッピー・バースデーの大合唱の中、当惑するパペ。というのも彼の誕生日は10月5日。実はこれ、バルセラの悪ふざけだったそうで。
何人かはこの表彰式を欠席した。まだ万全でないルージュリーとドミンゴとセルヴァ、そして…リエヴルモン。おそらく誰よりもキャンプを満喫中の代表監督は、ちょっと膝をトラブったらしい。
シャンボンでのキャンプは火曜でひとまず終了。
