« 【テニス、ちょっとだけフランス闘牛】 ロドラさん自然体すぎ | Main | »

2011.06.17

【フランス闘牛、ちょっぴりラグビーと音楽】 ニーム ペンテコステのフェリア

Grande après midi de Tauromachie(動画)
http://www.feria.tv/video-1802_grande-apres-midi-de-tauromachie.html


スペインでは以前からニームのフェリアが中継されていたんだろうか?分からないけど、とにかく今テンポラーダはDIGITAL+がペンテコステの11日と12日を中継していて、その12日の午後は重傷から復帰したばかりのクーロ・ディアス(まだ本調子ではなかった)とセバスティアン、タラバンテのカルテルだった。
フランスのフェリアが本場スペインで広く放映されるこの機会に、フランス人のセバスティアンが耳を3枚切ってコンスルの門から名誉の退場をした。

アレーヌは満員。この闘牛はガナデリア同士のマノ・ア・マノでもあり、1~3頭目がフエンテ・インブロ、4~6頭目がラ・キンタ。小振りな牛がそろって、特にラ・キンタの牛は小さかったけれども、総じてよく動き、特に2頭目のインブロ(セバスティアン)と6頭目のラ・キンタ(タラバンテ)の牛がブエルタで拍手を送られた。
興行主のシモン・カサスにとっても大成功の午後だったと思われる。


ニームのフェリアを最初から通して見るのは初めてだけれど、この地方の闘牛文化はスペインとはやはり雰囲気が違って、より地中海的な色彩が濃く見える。
古代ローマの円形闘技場で行われるこのフェリアは、アルル、ベジエといった周辺の他の闘牛場と同じように、ビゼーのカルメン、"トレアドール"で幕を開ける。フランスの作曲家の有名なオペラ曲が演奏される中、闘牛士たちがきらびやかなケープに身を包んでアレーヌに入場する。

ベジエ出身のセバスティアンには第二のホームのようなものなのだろうけれど、スペインの闘牛場ではあまり見せないような、和やかな笑顔だ。


トランペットが鳴り、トリル(牛の囲い場)の扉が開く。このトランペットの旋律は、フランスラグビーの試合のリスタートの時に吹かれる、あれ。
セバスティアンはこの闘牛がニームでの3日目で、最初の2回はくじ運もついていなかったらしい。そしてようやく牛に恵まれた。ベロニカ、チクエリナ…最初の牛はちょっとカポーテについてこないところもあったけれど、彼は手応えを感じていたのかもしれなかった。

ムレタの始まりは、突進してくる牛を寸前で方向を変えさせ背後を通す、度肝を抜くようなパセ。これはいつ見ても怖い。砂の上のセバスティアンの両足は、まるで彫像のように動かない。
背後を連続で3、4回通し、左手に持ち替え、胸元を通す決めのパセ。オーレ!アレーヌが熱烈な拍手に包まれる。
観客席にいた建築家のジャン・ヌーヴェルは、この瞬間思わず立ち上がったらしい。しかしまだファエナは始まったばかり。セバスティアンは地元のアフィシオナードたちに、持てる技を次々と惜しみなく見せていった。

ラス・ベンタスの楽団は、ほとんど仕事をしないまま家に帰ることも多いのではないかと思ったりもするのだけれど、フランスの闘牛場で印象的なのは、やはり音楽だ(* 後述)。もちろんこの日は闘牛自体の内容もよかったけれど、観客は楽団に演奏で盛り上げることを望み、しばしば曲にあわせて手拍子を打つ。
祝祭的な空気の中、セバスティアンは剣も完璧に成功させた。満場の観客が立ち上がって白いハンカチを振り、主催者は一度に2枚のハンカチを出した。

クアドリージャの連携は、ラス・ベンタスで見たときよりずっとよかった。ピカドールに拍手、銛もいい。
銛を構えるアンベルは、まるでジョーカーのよう。


セバスティアンの2頭目は、俳優のピエール・アルディティに捧げられた。既にポルト・デ・コンスルは決まっているので、いくぶんリラックスした表情をしている。1頭目よりは難しい牛だったけれど、よく導いて耳をもう1枚取った。
トレロに耳を渡しに来るアルガシルは、女性が務めていた。

妻と母親も見守る観客席を見上げ、笑顔で2度目の幸福なブエルタをした後、セバスティアンは砂場の中心に戻った。そして足元の砂を一握りつかみ上げると、その拳を心臓の上に当て、それからキスをした。拍手が一段と大きくなる。
セバスティアン・カステラはフランスを捨てた、というようなことを書き立てるジャーナリストもいる。でもこの午後の闘牛は、ニームの、そしてフランスのアフィシオナードに向けた彼のメッセージだったのだろうとも思う。


カジェホンにはセバスティアンの親父さんが来ていて、スペイン語でTVのインタビューに答えていた。

                        Laceg_2

* ニームの闘牛場の音楽といえば、フェリアの最終日には、モランテのファエナにあわせ楽団のロルケストル・チクエロⅡが突然アランフエスのもの悲しい旋律を演奏し始め、アレーヌは不思議なエモーションに包まれたそうだ。
モランテは耳を2枚、楽団も拍手を贈られた。

モランテ自身の要望らしきことも言われているけど、よく分からない。あるジャーナリストが"黒い絵"のファエナ、と評したこの闘牛術と音楽のコラボレーションは、もちろん邪道であろうし悪趣味かもしれない。しかしニームの観客が希有な闘牛のひとときを経験したことは事実で、モランテはこの南仏の闘牛場で時々こういうことをやる…スペインの一級闘牛場ではできないような創意を。
彼は昨年は、椅子に腰掛けてファエナを始めた。

Le Concerto de Morante de Aranjuez (動画)
http://www.feria.tv/video-1811_le-concerto-de-morante-de-aranjuez.html

|

« 【テニス、ちょっとだけフランス闘牛】 ロドラさん自然体すぎ | Main | »

Comments

どうも、お久しぶりです。
アランフエス、いい具合に響いていますね。
ラグビーしかり闘牛しかり、フランス人はあらゆる文化を「綜合芸術」に高めようと試みているような気がしちゃいます。

トランペットで思い出したのですが、
ラグビーフランス代表のホーム試合では、入場曲もいつも同じ曲がかかっていますよね。(テンポの速いクラシカルな曲です)
あの曲、つきさんは曲名をご存知でしょうか?

Posted by: みぐ | 2011.06.25 at 15:03

こんにちは!
確かに、フランスって何かにつけてアート志向ですよね。その根底に遊びの精神がある気がするのが面白いと思ってます。
闘牛だと、se jouer la vieという言い方をよくしていて、これが「命を賭ける」に近いニュアンスかな、と思います。スペインでも同じ言い方をするけれど、もうちょっと生々しい感じ…

入場曲…カルミナ・ブラーナみたいなあの曲ですよね?クリムゾン・タイドのテーマ曲かと思ってましたが、つべで確認したら違った(;´Д`)スミマセン、お役に立てそうもないです~

Posted by: つき | 2011.06.27 at 14:56

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/91018/51959466

Listed below are links to weblogs that reference 【フランス闘牛、ちょっぴりラグビーと音楽】 ニーム ペンテコステのフェリア:

« 【テニス、ちょっとだけフランス闘牛】 ロドラさん自然体すぎ | Main | »