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2011.05.27

【フランス、スペイン、メキシコ闘牛】 サン・イシドロ16日め

サン・イシドロ16日目はコリーダ・デ・ラ・プレンサ。セバスティアン、ペレラとメキシコ人のホセリート・アダメのカルテルで、ラス・ベンタスにはカルロス国王がいらっしゃったけれど、耳はセバスティアンの1枚にとどまった。

3人のトレロは皆、彼らの1頭目を国王に捧げた。セバスティアンはボテロの時にもやっていたように、ブリンディスをした後背を向けて帽子を投げ、帽子はきれいに国王の手の中に収まった。トレロは後ろにも目があるのだった。


アルクルセンの牛は総じてとてもマンソ。セバスティアンの1頭目は馬から逃げカポーテから逃げ、どうなることかと思ったけれど、ムレタに誘われ闘牛が進むにつれ、まったく別の顔を見せた。時々いる、人のような目をした牛。
まず右手で流麗にパセをつなぎ5回、6回、手を持ち替えて…途中銛が目に当たってもものともしない。すべてがアルテに供された、ひたすら美しいファエナ。アビソが鳴っても、セバスティアンはまだ剣の準備もしていない。

剣が成功し、満足した観客が一斉に白いハンカチを振る。耳が1枚だけというのは、彼自身が少しこの輪舞を愉しみすぎたからかもしれないし、始まる前にテーピングした左の親指をスプレーで冷やしていたから、調子も良くないのかもしれない。少し残念そうな表情で耳を受け取った。スペイン人のトレロだと、これでわりと2枚出ちゃうこともあるような気がするけど…!
マイクを向けられたセバスティアンは何より先に、ブエン・トロ、ブラーボ、と牛をたたえた。馬に引かれていく牛にもまたオベイションが贈られた。

2頭目にグラド・ポルトの期待がかかったけれど、残念ながらこの牛は誘ってもびくとも動かない牛だった。セバスティアンはしきりと自分の目を指さして何かを訴えているのだけど、何を言いたいのか分からない。
剣はピンチャソ1回、デスカベジョ1回。観客席からは「お疲れさん」のひかえめな拍手。牛には口笛が吹かれた。

1つ気になったのは、セバスティアンは今季クアドリージャのバンデリジェロを替えたけれど、ちょっとうまく機能してない感じを与えることだった。銛打ちがいいとムレタの前にアレーヌが盛り上がる。クーロ・モリーナの不在をしみじみ感じた。
アンベルは飄々としたキャラでいい味を出しているけど。


ペレラはくじ運も悪かったけれど、剣も良くなかった。この日はどういうわけか、3人全員がパセの時通過する牛の後脚に足をすくわれる場面があり(血統の癖?)、ペレラは転倒して襲われかけ脛を踏まれた。ヒヤッとする瞬間。むしろここからだと思ったけれど、状況は良くならない。
彼の闘牛を見ていて時々感じるのは、決して悪くはないのに、次第にアレーヌの熱が冷めていく…人をひきこむ何かが足りないような気がするということで、それが何なのかは私などには分からない。


ホセリート・アダメの闘牛の前にはアルテルナティブの確認があった。パランはセバスティアン。キャリア的にもパランを務める機会が増えてくるのだろうけど、なんだかぎこちないw

メキシコの闘牛士は独特の雰囲気を持っているように思う。勇気とガナ、祈りを捧げる時の宗教的法悦の中にいるかのようなまなざしが印象的だ。
小柄なホセリート・アダメも、やはり勇敢ないい闘牛をしてラス・ベンタスに鮮やかな印象を残した。2度のオベイション。ちょっと故川谷拓三を思わせるような味のあるトレロで、彼の2頭目の時、ブエルタでもするのかという感じで延々黙々と歩いて、観客席にいるブリンディスの相手を探していた。ご両親なのかな?


ところで(よくライバルと目される)セバスティアンとペレラの間に何があるのかあったのかは知らないけれど、やはりあんまり目を合わさないし、合えば合ったでものすごくびみょんな感じで、少なくとも共通の話題はなさそう(・∀・)
ラス・ベンタスを退場する際、両クアドリージャがあいさつを交す時の、この2人の気まずさといったらなかった。ハハハ。
私はペレラのストレートっぽい気性も好きだ。昨年のキテ対決は楽しかったよ…

                        Laceg_2

セバスティアンの闘牛は単純なスペクタクルではないし、アンビバレンスに満ちひどく複雑であやうく、コンセンサスなど求めていない。私はいつもしばらく「あれは何だったのかなあ…」と考えてしまう。
たとえば(たぶん多くのスペイン人が好むだろう)力強い牛と戦い制圧して倒すことに破綻はないけれど、彼は牛と会話し交わり最後に殺す。彼の闘牛の奥底にある生の哀しみのようなものはそれだろう。

フランスの哲学者や文学者たちが闘牛に捧げた数々の言葉を思い出してもいいかもしれない。セバスティアンはやっぱりフランスの闘牛士なんだろうと思う。
猛々しい牛の前にただエレガンスをもって立つ、そのコントラスト。彼が荒ぶる角の前で優雅に腰をひねる瞬間の官能性には、正直ゾクっとさせられる。

Adame

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