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2011.02.23

【音楽】 スフィアン・スティーヴンスのインタビューを更新するたび上げるエントリ(2)

Sufjan2010"The Age of Adz"のリリースに際して、スフィアンが具体的にどんなことを話したのかは知らないんですが。
↓このインタビューは内容はいくぶん古くなったかもしれないけれど、こんなこと訊かれたり言われたりしてるうちによく分からなくなっちゃったんだろうなあ…というドキュメントとしても読めるんではないかと思います。はい。

でも、"Michigan"もまたごくパーソナルな内容の作品だったけれど、私は"Michigan"の一人称小説的なアプローチも大好き。あの極度にコンセプチュアルな"The BQE"でさえ、言いたいことはつまり結局、"Be the hoop!"ってことなんでしょ?
私がスフィアンの音楽で探していたのは、彼自身の投影です。コンセプトじゃない。だから音楽への彼のアプローチは変われども、私にはどうといったことはない。

今回更新分は一番下。これで完結です。

(1)はこちら。LA BLOGOTHEQUE掲載インタビュー。

                        Laceg_2

Q: 君は明らかに、君自身の国、アメリカ合衆国に関する大発見をしたがっている。世界の他の国に対してもそうなのかな?

「ああ、休みを取りたいのはそのためでもある。違う世界を自由に見に行けるようにね。
ツアーの話はしないよ。ライブとライブの合間に大したものは見られないから。パリで2、3日気ままに過ごして、あそこがすごく気に入りはしたかもしれないけど。いや、本当の旅の話をするよ。時間もあるし。

ちょっと前のクリスマスに、中国で3週間過ごした。姉の1人が香港に住んでいるんだ。僕の初めてのアジア旅行で、素晴らしい経験だったよ。
北京に何日か滞在したけれど、あそこは不可思議な、まったく違う世界だった。僕にとってはね…。同時にすっかりヨーロッパナイズされた外観の、その精神を失った世界だった。

紫禁城の中にスターバックスがオープンするという噂さえ聞いたよ。もしそれが本当なら、アメリカの領土拡張論を雄弁に物語っているよね。それは今、ブランドやフランチャイズや、最も卑しむべきマーケティングを通じて行われているんだ…

若いアメリカ人で、アジアを旅して、でもその世界は魂をなくしていて、そこにはマクドナルドがある。そんな光景を見るのはかなり奇妙な感じだ。
僕はそういったすべてに対してかなり後ろめたい気持ちになる。受動的に加担しているという罪の意識を感じる。

僕はもっと旅をしたい。でも観光の概念ですら、僕にはちょっと心配なんだ。中国の壮大な城壁を見たとき、僕はイメージやシンボル、ロゴを知り尽くしている人が、現実と向かい合うときにお決まりのあの失望を感じた。
というのは、現実の風景を見るとき、僕達はまた絵はがきやロゴや、現実でさえないものを目にしているような気がするから。少しずつ、観光は場所の持つオリジナルな力を蝕んでいる。写真また写真で」


Q: 君の国の歴史に対するこの情熱はどこから?

「僕の国には、歴史の深さや古くからの指標が欠けている。でもそれは、この国をすごくおもしろくしていることでもある。アメリカは絶えず存在理由を探し求めていて、作られる歴史を解読する必要がある。というのは、アメリカが持っているのはそれだけだからね。

ヨーロッパでは、あなたたちの共有するアイデンティティはもっと明白だ。それは歴史に由来していて、ルーツは揺るぎない。
僕達アメリカ人はみんな移民で、歴史がとても浅いから、自分達が何者なのか、どんな国家を構成しているのかがまだよく分からない。オランダ系のアメリカ人は、イタリア系とはずいぶん違う。

ヨーロッパから見れば、僕達はみんな似たり寄ったりだということは分かってるよ。つまり、ヨーロッパの人が"アメリカ人"というときには、あの消費病、でっかい車なんてのが暗にほのめかされているわけさ。
でも事実は幸いにしてそれより複雑だ。"アメリカンピープル"は確かにいて、彼らはユニティを探し合っている。それがいくつかのブランドマークやハリウッド映画の中からではあっても、彼らがユニティを見つけたとしたら、それは彼らがみんなそっくり同じだという意味じゃない。僕達の混血は複雑だ。たとえ僕達にコンセンサスの集団的な欲求があるとしてもね。

アメリカは、そう、コンセンサスを探し求めている。でも僕はというと、アーティストとして、そういった一致の方向に向かわないような作り話をするのをすごく楽しんでいるんだ。僕は差異や微妙さや余白を歌うのが好きだ」


Q: 君自身に与えられていると感じる"アメリカの価値"とは何?

「難しい質問だな…。うん、やっぱり僕達それぞれに内在するこの考えだよ。もし何かを手に入れたかったら、ここではそれが可能だという考え。
それは何でも簡単だとか、道に障害がないとか、社会や民族の抑制がないというような意味じゃない。でもアメリカでは、自分自身の存在をどちらかに引っ張っていけるような気がするんだ。

僕が言ってるのはもちろん、ニューヨークで暮らしている若い白人のとても恵まれた意見。それでもやっぱり、このコンセプトは絵空ごとじゃないと思うよ」


Q: 『ミシガン』と『イリノイ』には、この2つの州を象徴するものの絵が描かれている。歴史、富、英雄的人物。歌のテーマはどうやって選んだの?たとえばインディアンの歴史を採り上げるかどうか。あるいはシカゴのマフィア、君はその話をしてない。

「それは本当に直感的。僕が興味を持ったもの、探求の途中で発見したことに応じて。
インディアンの場合は、何よりヘビーにしたくなかった。だからそれはただ言及したというだけ。シカゴの悪党については、自分にはそれについて歌うのがしっくりこなかったんだろうね。だから歌わなかった。

テーマそれ自体には興味がないんだ。それぞれのテーマで僕が模索しているのは、それを通して、どうやって自分を少し投影するか。自分がまったくそこにいない歌は欲しくなかった…

最低限の自己批判能力を持ったアメリカ人すべてと同じように、僕はアイデンティティの危機を経験する。その時、僕は知ろうとし、理解しようとする。僕はどこから来て、どこへ行くのか。
それが意味することは、今は、アメリカ人であることだ。これらのディスクは僕にとって、違った意見や物語りのいろんな可能性、アプローチを考え出す1つの方法なんだ。さまざまな視点から、僕の国を語る1つのやり方。もっとよく理解しようとするために」


Q: 君が受けた教育は、アメリカの歴史に関して君にいい指標を与えてくれた?

「いや、僕達が学校や大学で教え込まれることの大部分は、修正された歴史とプロパガンダだ。でも、最小限の疑いをもってああいう歴史書を読まなければならないことが分かっていれば、なんとかなるものさ。
それはアメリカ合衆国についてのこのディスクのプロジェクトで、僕が興味を持っていることでもある。つまりリスナーに、彼ら自身で探求し、地図を広げて、自分の力で見に行き、公式な歴史や伝説やシンボルをよく調べるように喚起すること。

10歳か11歳のころ小学校で、ミシガンについてのありとあらゆることを暗記しなければならなかったのを覚えてる。上院議員や政治家の名前、それに何十もの市、湖や川の名前。もちろん、それは僕に大きな影響を与えたし、今の仕事にもそれは明らかだと思う。
でもそんなことがあったから、僕はこの年の頃から、あらゆる名前の"背後"を見に行きたいとも思うようになったんだ。概念やロゴとして知るにとどめないで、実際に発見しよう、ってね」


Q: 圧力団体や政党やアソシエーションからリアクションはあった?

「うん。メールを何通か受け取った。でももう何だかよく分からないよ…。ホワイトハウスにも招かれた。歴史の理解における文化の役割について、とかいう討論会の日。でも辞退したよ。"抱き込まれ"やしないか、ちょっと心配でね。
自分は情報通の政治家のレーダーの下にいて、ちょっと監視されてるように思う。それが好意的なものなのかどうかは分からないけど。
なんであれ、僕は自分の歌が、何かに使えるというようなものであってほしくない。あれは単にポエティックな作品であって、演説じゃない」


Q: 君は信仰心を持っていて、率直にそう言うよね。君の歌には信仰の影響が聞かれると思う?

「音楽それ自体はかなり宗教的な経験だ。いずれにしても、すごく精神的な。このエモーションに基づく仕事、言葉と音符の融合、意味とハーモニーを探して結びつけること。僕にはそのすべてが霊的なもの、神的でさえあるものとたわむれる仕事に属している気がする。
でも、そんな話をしても役にはたたないんじゃないかな。それはとても個人的で、説明するのはかなり難しい…。それに、頭の中でこんがらがってしまう時もある。

僕の両親はいくつか面白い経験をしていて、いろんな宗教に近づいたりもしていた。僕はスピリチュアルな環境で育ったんだけど、実際、どの神様を信じたらいいのか分からないよ!
たとえば僕のファーストネームは、アジアのスピリチュアリティとヨガに夢中な、両親の友人がつけてくれた。元をたどればペルシャの名前だ」


Q: 今はすべてが完璧に見える。君のディスク、コンサート、君の生き方、明晰さ、冷静を失わない能力…。"スフィアンの国"では何のトラブルもないのかな?

「(笑)…いやいや、もちろんあるさ。表面下ではそんなにパーフェクトじゃないし、そんなに落ち着いてもいないよ。僕の私生活は明らかに、ディスクを通して見えるほどきちんとしちゃいない」


Q: 君はすごく完璧主義に見えるけど…

「自分の仕事の細かいところにはすごくこだわるよ。写真やジャケット、もちろん録音。でもそれは、鏡の前で時間を過ごしすぎないようにする1つの方法でもあるんだ…
僕は自己観察はあまりやりたくない。自分はすごく不完全だと思うから。エゴイストで、時々意気地なしだ…。僕はよく、人間関係で勇気が足りない」


Q: 『シカゴ』の中に、「僕はたくさんの間違いを犯した」というフレーズがあるよね。君自身もそう?

「うん、いろいろと間違った。そして相変わらず、毎日毎日たくさんの間違いを犯してる。このフレーズはあのディスクの中で一番パーソナルな部分の1つだし、それはもちろんのことだと思う。
あの曲の主人公と同じように、僕は逃避しながら時を過ごしている…。それに、僕がこれほど自分の音楽に打ち込んでいるのは、まさにこの種の問題について考えないようにするためだ。逃避だよ、うん、間違いなく」


Q: 音楽の情熱は、人を狂わせるかもしれない。ブライアン・ウィルソンやシド・バレットは、完璧を求めるあまり狂気に陥った。彼らのようになりはしないかと心配じゃない?

「1つ確かなのは、僕は音楽が人をいかれさせる可能性があることを知っているし、理解してるってことさ、うん!
偉大なクリエイターにあれほどまでの破滅が起こりえたことを考えるのは、本当に恐ろしい。彼らの狂気には、たぶんドラッグの経験が決定的だったとしてもね。
僕は幸いドラッグの類には何もひかれないし、自分はまったく健全な人たちに囲まれていると分かってる。僕が奇行のサインを見せ始めたら、友達がすぐに落ち着かせてくれるんじゃないかって気がするよ」


Q: 50歳になった君はどうしているだろう?

「今と大して変わらないさ。曲を書いて、プロジェクトを持っているだろう。僕はただ、自分に家族がいて、子供たちがいて、そのことが僕に身を落ち着けて、何かに定着し根づいているように感じさせてくれればと思うよ。やっとね」

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Comments

つきさんご無沙汰してます。
"The Age of Adz" ようやく購入しました。今はiPhoneで毎日聴いてますよ。

『僕の国には、歴史の深さや古くからの指標が欠けている。でもそれは、この国をすごくおもしろくしていることでもある。』
またまた共感しました。確かに伝統への敬意だけでは生み出すことの出来ない、思わずハッと目を見張ってしまうような圧倒的なダイナミズムがこの国にはありますよね。たとえそれが議論を呼ぶようなものであっても。

ラグビーユニオンでいえばナショナルチームにおけるプーマスであり、クラブにおけるパリやトゥーロンなのかなと。少し強引ですが。。

気付いたら一昨年の南ア対仏のレゲエのおじさん以来コメントしてませんでしたが毎日チェックしてますよ。

2007年のW杯にこのブログに出会ってから早4年。当初はシャバル情報を追いかけて辿り着いたこのブログですが、最近では知的なキャラになってしまった感のあるシャバルよりもある意味全くブレないポ様を応援してしまうようになってしまいました。

これからはもう少しマメにお邪魔しますので今後とも宜しくお願いします。


追伸:TOP14をネット配信で視聴されている様ですが差し支えなければ視聴方法を教えてくださいませ。

Posted by: シャベル | 2011.02.23 at 23:15

シャベルさんこんにちは、Age of Adz、すごかったですね。私はリリース前にレーベルのサイトで"Too Much"を1曲だけ試聴したのですが、それだけでもう口あんぐりという感じでした。

エレクトロニックとオーケストラ、もろもろをミックスしてかなり実験的なこともしているけれど、ポップミュージックとしてしっかり聴かせる…こういうところはやっぱりNYの音楽シーンの人だな、と思います。


スタッド・フランセとトゥーロンは、やはり会長がどちらも移民で、そのことが(合衆国のように)フランスラグビー界に良くも悪しくもダイナミズムをもたらしているのかもしれませんね。
ただ、SFは方法論は革新的でしたが、根っこの理念は意外とトラディショナルで、その危ういバランスが面白いと思いました。最近はあまりうまく機能していませんが…


>ある意味全くブレないポ様
「そこから仕掛けるのかよ!」という感じの彼のプレーはやっぱり面白いですよね。フランスだなぁ…と思いますです。
私の脳は、ポさまのポカと師匠のスローはネタとして処理するようになってますので!

シャバルはTwitterやサイトをやったり、新聞で連載を持ったり、意外ともの申すお方でしたね。センスがかなり独特で、面白いですが。
個人的に最近は、あらゆる意味でブレないカドモアがツボにはまってまして(゚ー゚;


TOP14はライブストリーミング頼みなのです。私もそれほど詳しいわけではなくて…
ちょっとデリケートな話になりますので、よろしければプロフィールページ(サイドバーの一番上にリンクあります)からメールをいただけますでしょうか?

Posted by: つき | 2011.02.24 at 19:22

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