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2010.07.21

【日記】 川のこちら、川の向こう

夏の記憶が鮮やかなのはおそらく、生者と死者が一番近い季節だからだ。この時期が来るとふと思い出すのだけれど、子供の頃、大雨の後で増水した側溝に、人の足らしきものが引っかかっているのを見たことがある。

それが夏のことだったと分かるのは、水面に田んぼの浮き草がたくさん浮いていたから。
幅1メートルくらいの側溝に渡した、コンクリートの小さな橋の下をのぞき込むと、木の枝やゴミに混じって人の切断された足のようなものが水面から突き出て、折り曲げた膝が橋につかえているようだった。

逆光の影の中だったし、夢か現実の出来事か、母が言ったようにマネキンの足だったのかは今となってははっきりしないのだけれど、夏のある日、そんなものが側溝を流れていることもあるかもしれなかった。

側溝は人通りの少ない道の、暗渠の間に10数メートルほど外に出ているもので、再び暗渠に入ってからすぐ大きな河川に流れ出る。あの"足みたいなもの"も、そのまま川まで押し流されてどこかに行ったのだろう。


その川はかつておびただしい数の死人が流れた川で、増水するとどこからか生きものの死骸が流れつき、河原に転がった豚の頭蓋骨の眼窩から、一本伸びた雑草が小さな花を咲かせたりしていた。

川面のすぐ上には簡素な木の流れ橋が渡してあって、その下に色とりどりの金魚がひれをひらひらさせながら泳いでいたものだった。夢の光景のようではあったけれど、当時、実際土手の上に金魚の養殖場があったらしい。子供の頃の美しい記憶の一つ。

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