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2010.05.18

【フランス闘牛】 サン・イシドロ10日めとアサンシオンの話

Nimes2010513a15日、サン・イシドロの10日目。トレロは絶好調エル・フリとセバスティアンにルケ。牛はガルシグランデとドミンゴ・エルナンデス(4、5)。ゴージャスなカルテルにラス・ベンタスは満員御礼、しかし結果は1つの耳も出ず、観客にはちょっとがっかりな午後だったかもしれない。
フリとセバスティアンは彼らの1頭目で、剣さえ失敗しなければ耳が取れていたと思う。ルケの牛は彼に選択肢を与えなかった。


セバスティアンに関してはその前々日に、雨のニームで6頭連続で濡れたムレタを振り回していたこともあり、疲れも残っていそうな様子でした。2頭目の牛が途中でびくとも動かなくなった時点で、集中が切れたかもしれない。剣を準備する顔は疲れと落胆の色濃く、"ああこの剣は成功しないな"と思ったな…

1頭目の牛は、カポーテの時にはあまりついてこない牛で、セバスティアンはまるで牛に教え込むようにカポーテをしていた。
後ずさりをしたかと思うと危ない動きをする牛だったけれど、彼はこの牛をよく動かした。2度ムレタを取られてからは(剣折れた?)、角の前でかなりのリスクを冒した。セビージャのフェリアの時は、彼はこれほどの気迫がなかったような気がする。

                        Laceg_2

さて前々日の13日、昇天祭のソロ闘牛が行われたニームでは、午前のノビジャーダの時は気持ちのいい天気だったのに、午後の始めに不運にも一帯を豪雨が襲った。
砂場の状態は最悪。ジャーナリストと闘牛関係者たちは、このコリーダは中止か、秋のヴァンダンジュに延期するのが理想的な解決策だろうということで意見が一致していたという。セバスティアンのアポデラードも、闘牛場は使用不可能なのでは、というニーム市長と意見を同じくするかに見えた。

しかし闘牛場に着いたセバスティアンは、空を見上げ、砂場を見渡してから一言、こう言ったらしい。「パランテ」
誰も彼の考えを変えさせることはできなかった。30分遅れの入場を、悪天候にもかかわらず駆けつけた熱心なアフィシオナードが熱烈に迎え、セバスティアンは彼らとハイチのために闘牛をした。

観客はこのひどい状況のもとで、セバスティアンは6頭目までもたないのではないかと危ぶんでいたらしい。難しい局面ではよく彼を励ました。
牛も総じてあまり良くなく、セバスティアンは剣で苦しみながらも、ガルシグランデの2頭の耳を計3枚切ってコンスルの門から肩車で退場をした。期待された成果には届かなかったかもしれないけれど、そこにはおそらく彼がもっとも示したかっただろう連帯があったのではないかと思う。
あるジャーナリストはこう言った。「ホセ・トマスを除いて、今どのトレロもおそらくこのようなパフォーマンスはできないだろう」


特筆すべきは、午前の部でノビジェロのトマ・デュフォーがフランスの牧場主たちに、そして午後セバスティアンがフランスの先輩闘牛士たちに捧げたブリンディス(牛を捧げること)のことです。
セバスティアンは5頭目の闘牛の前に、闘牛場に集まったフランス人闘牛士たちに、長い捧呈をした。「こうして先輩の皆さんとまたお会いすることができて、胸がいっぱいです」、と彼は言ったらしい。
(この日はチケットを買ってもらうというチャリティの主旨に基づいて、インビテーションは行われていないはず)

私はなぜ彼がスペインではなく母国フランスでソロをやることに決めたのか、今ひとつはかりかねていたのですが、その理由のひとつがなんとなく分かったような気がしたのでした。
晴れてほしかったけれど、闘牛は昨年のようにいい時ばかりではないだろうし、人助けはいつも難しい。また頑張ればいいのよ…


ところでこの日のシルバーグレーの地に黒と銀の刺繍の衣装と、黒地に紫と銀糸の花の入場用カポーテは素晴らしかった。ハイチ地震の犠牲者に弔意を示してか渋い色合いだけれど、月光に照らされたように美しい。まさかこの衣装が灰色の雨雲を呼んだわけではないだろうけれど。
セバスティアンは最近よくカポーテにパンジーのモチーフを使ってる。フランス語でパンセ(pensée)、物思う花であります。

Nimes2010513c

(photo: sebastiancastella.net/)

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