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2010.01.12

【ラグビー】 フランス代表と"負けざる者たち"

シュド・ウエスト紙に、先日パリで行われたクリント・イーストウッドの新作映画『インビクタス』のプレミアに、1995年のフランス代表の元選手達が出席した、という記事が出てました。リーグとレキップのご招待。

私はこの映画の舞台である、南アフリカで95年に開催されたワールドカップについて、詳しいことは知りません。そんな自分にとってこの大会は、ラグビーワールドカップ史の最も美しい物語の1つであると同時に、スポーツの文脈で語るにはやや政治的、そんなふうにも思える大会です。


実際、ネルソン・マンデラとボクス主将ピナールのアミティエを軸とするこの映画を観るとき、フランス人の胸に去来するものは、やっぱりちょっと複雑らしい。
豪雨の中で行われたフランスと南アフリカの準決勝。たしかに脚本家は、泥の中の死闘を忘れはしなかったかもしれない。でも反対に脚本家がスルーした、認められなかったフランスの2トライや、ウェールズのレフェリーによって切り上げられた最後の数分のことを、フランス人はやはり思い出してしまうようです。

出席者の中でただ1人、ローラン・ベネゼク(ラグビー評論でもおなじみ)は、Derek Bevanレフェリーのレフェリングに言及しつつ、決勝前日のオールブラックスの「奇妙な食中毒」のことにも触れた。
オリヴィエ・メルルはちょっとしたアイロニーの方を選んだ。「イーストウッドは我々に礼を言うかもね。我々がいなかったら、彼はこの映画を作れなかっただろうから」

アブドゥラティフ・ベナジは、あのトライのフラストレーションは1週間もしたら忘れた、ときっぱり。「このタイトルがあの国にとって意味したものを考えれば、その方がよかったかもしれない。それはスポーツの枠を越えてはいなかっただろう」
現代表コーチのヌタマックは、「歴史が美しくあるために、彼らが世界チャンピオンであるべきだったのさ」、と笑顔でコメント。


エキストラを使ったプレーのシーンが、かつての名選手達にとってはちょっぴり苦笑を誘うものであったとしても、出席した全員が、決勝の場面を再び見て感動した、と語った。白人の群衆の「ネルソン、ネルソン!」コールの中、グラウンドに入場するボクスのジャージを着たマンデラ。

「あれは素晴らしかった。身震いがしたよ」と、後にピナールと親交を結んだフィリップ・セラは当時を振り返る。
主将のサンタンドレによれば、ポストの裏の観客席で見ていたフランス代表の中には、泣いている者もいた。グラウンドに立っているのは、あるいは彼らだったかもしれない。
「実際、あの国にとってあのワールドカップが意味するものに我々が気づいたのは、その日のことだったよ」

そのキャリアで4度のワールドカップを戦ったガルティエはこのように。
「1995年の代表は、優勝するために最もポテンシャルのあるチームだったかもしれない。しかし個人的な見地では、このタイトルを獲れなかったフラストレーションが、私に自己を確立する力をくれたんだ」
思い出深い映画の後、かつての主将を中心に集まった元選手達は、グラスを囲んで再会のひとときを過ごしたそうです。

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