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2010.01.12

【音楽】 スフィアン・スティーヴンスのインタビューを更新するたび上げるエントリ(1)

Sstevensinterviewどこに需要があるのかは知らねど、私が楽しいので暇なときに少しずつやってます。できたところから上げてくエントリ。

これはLA BLOGOTHEQUE掲載のスフィアン・スティーヴンスのロングインタビューなのですが、元は仏テレラマ誌の記事らしい。
インタビュアーはフランスの音楽ジャーナリスト、エマニュエル・テリエ。06年1月15日(ちょっと古いけど)、ブルックリンにて。

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Q: 時々、君は一度にいくつもの運命を抱え込みたがっているように見える。オーケストラ・ポップメイカー、でも私的なソングライターでもある。ノイジーなエレクトリック・ロック、インストゥルメンタル・ミュージック…。1人の体の中に3、4人のスフィアンがいるんじゃない?

「僕は食いしん坊なんだよ、きっとね。食いしん坊でしかも節操がないときてる。でも、それはそこどまりだと思うよ。この面ではなんの不自由もない。僕の人格は平和的に共存してるよ。

それは僕のリスナーとしての経験から来てるんじゃないかな。僕は人生のいろんな時期に、いろんなスタイルの音楽を聴いていて、それが僕のすべてを形成したんだ。
まず音楽学校のすごくお堅いコースで始めて、そこでオーボエを学んだ。理論をたっぷり、それに偉大なマスターピースを聴く時間もたっぷりあった。それから、僕にはいつもラジオから流れてくるヒットソングやTop40に興味をひかれる一面がある。

大学時代には同時に、インディペントのアーティストやアンダーグラウンド・ロックに興味を持っていた。ソニック・ユースとその他いろいろ、パンクバンドのThe Ex、それから無名のミュージシャンたち。僕はそのエナジーが好きだった。
僕の音楽はちょっと、そのすべてをつきあわせた結果みたいなものだね。

あまりうまく管理できない時もある。何よりアレンジ、色をのせたい時には。でも気にしない。自分の歌でも統一は生まれると思ってるから。歌が僕自身の商標になるんだ」


Q: いずれにせよ君は、より徹底的に、ただ1つの美のかたちに集中しようとかは考えたことがないの?

「ああ、すぐ退屈してしまうだろうね。刺激や危険が足りないんだ。歌を始めた頃からすぐ、僕は自分に完全な自由を与えることができると分かっていた。僕はこう思った。そうさ、誰にでも権利があり、したいことをする。

ポップミュージックの歴史をひもとけば、ごく短い期間、何十年かのうちに、すべては語られ、歌われ、録音されて売り出されたことが分かる。未開拓の場所なんてほとんど残っていない。
僕にとっての証明は、すでに引かれたすべての道の真ん中で、自分自身の道を通す自由と鼓舞だ。というのは、ゼロから何かを作り出すのは難しい、だからもしそう望むなら、ミックスし、スタイルを突きあわせ、ひねり回しながらリサイクルすることで自由を感じなければならない。

近年、もっとも好まれている音楽は単純化されすぎたと思う。美的にかなり空疎だと思うし、ソフィスティケイションと野心が足りない。
2、30年前にはそうじゃなかった。バンドはもっと勇気があったし、もっと一生懸命やってたよ、僕が思うに。クィーンみたいなバンドは、好まれようが好まれまいが、いずれにしてもかなり高いハードルを置いていた。彼らのメロディーはよく練り上げられていて、アレンジは本当に高度だった」


Q: 君がイギリスのバンドの話をするから、私は君がザ・スミスのファンだったのかと思ったんだけど。

「いや一度も。機会を逸して、今でもよく知らない。僕は今30歳で、彼らがイギリスで人気があった頃には何年か若すぎた。
実際、僕が聴いていたイギリスのロックは、姉のカセットを借りた時に発見したんだ。ザ・キュアーは大好きだな。デペッシュ・モード、ニュー・オーダー、そしてU2。もちろんね」


Q: 君にはお姉さんが2人いるけど、そのお姉さん?

「いや3人。みんな年上。弟も1人いる。で、もう1人は兄!だから、合わせて6人兄弟の大家族なんだよ。
でも、両親はアメリカ風にかなりソフィスティケイトされた夫婦でね…。両親は僕が1歳の時に離婚した。だから、僕は父と父の新妻のもとで育ったんだけど、母と継父の家にバカンスを過ごしにも行っていた。僕達のレーベルAsthmatic Kittyは、継父と立ち上げたんだ」


Q: ええ、私は昨日の夜、リンカーン・センターで彼に会いましたよ。いつの頃から君を知っているのか彼に訊いたら、こう言ったよ。"えーと、スフィアンが5歳の頃からだな!"

「(笑)…ああ、長い歴史だよね。彼は僕がプラスチックのカシオのピアノで音楽を始めるのを見ていたんだ。彼が"スフィアンは6、7歳でもう交響曲を書いた"とか言ったら、信じちゃだめだよ。相当話が大きくなってるから(笑)
僕にとって音楽が真剣なものになったのは、小学校でリコーダーを学ぶようになってからだった。僕の年代の子供達みんなと同じようにね。他の子達よりはいくぶん簡単にできたけど。
継父はよく60年代のレコードをかけていた。たとえばビートルズとか。僕はそれにあわせて演奏していた。

次に手にした楽器はオーボエだった。僕はトランペットの方がよかったんだけど、継母にオーボエの方がもっと独創的だと説き伏せられた。吹奏楽団の中で、僕はもっといい扱いを受けて、重んじられるだろう、とね。
後で分かったことはつまり、オーボエにはソロがある。それと特別コースにも入れた。マスターするのがすごく難しい楽器だからね。
僕の家にはアップライトピアノもあったし、自分の部屋で小さなシンセを引きながら学んでいた。両親はミュージシャンではなかったけど、僕をよく励ましてくれたよ。彼らは、僕にはいくらか才能があると感じていたようなんだ」


Q: あのリンカーン・センターの豪華な夜の後で、君のさしあたってのプロジェクトは?

「何ヶ月か休みをとることになると思う。その必要を感じるよ。あの夜はちょっと、1つのサイクルを締めくくる方法みたいなものだった…
僕達はいくつものコンサートと新たなヨーロッパツアーをオファーされたけど、断ることにした。休みたいし、少しこのディスク以外のことを考える必要がある。
新しい曲を書きたいし、少しの間自分の音楽のことは忘れて、他の人達の音楽に興味をもったりもしたいんだ。マイ・ブライテスト・ダイヤモンドみたいな、友達の歌。僕のドラマーのジェイムスがディスクを作るのも手伝いたいしね」


Q: だから君はこれ以上"Come On Feel the Illinoise"のプロモーションはしないつもり?

「ああ、このディスクはマイペースで万事順調にいってると思う。これ以上売らなくてもいいし、そもそもどれくらい売れたのかも知らない。いずれにせよ、少しバカンスをとるには十分だよ。
もっと大勢の人に聴いてもらうために、やらなければならないことは分かってる。でも、単にやりたくないんだ。僕達はあわせて3ヶ月近くツアーして、休みが必要だ。

それに、アーティスティックな部分そっちのけでプロモーションに奔走するのは嫌なんだ。NBCのコナン・オブライエンの番組みたいな、TVのナイトショーの招待を断ってるのはそのためだよ。
だから僕達は野外フェスティバルをやったこともないし、やるつもりもない。ライトの真ん中で演奏するなんて、グロテスクだよ。金のためにああいうことはしたくない。ソウルを失ってしまうような気がするんだ…

僕がツイてたのは、ミュージシャンになる前に、最初のキャリアがあったこと。グラフィックデザインや広告の製作で名前が売れ始めて、僕にとってはうまくいっていた。子供向けの本のレイアウトもしたし、"Time for Kids"のために頑張って仕事した。
現代文学やエクリチュールも学んだ。その時は小説家になろうと思っていたんだ。

だから、このミュージシャンの生活をやめなければならなくなったら、グラフィックや他のことに戻るかもしれないってことは分かってる。食べていけなくなるんじゃないかという心配はしてない。音楽で生計をたてられるなんて考えたことはないよ。僕はツイてるのさ」


Q: 家に1人でいて作曲する時間があるときには、ギターを使う?それともバンジョーやピアノ?

「ギターとバンジョー。ここブルックリンでは、残念ながら僕の家にはピアノがないんだ。
そのかわり夜間にスタジオを借りてるから、行って好きなように仕事ができる。そこにはいいピアノもあるしね。
みんなが寝ているとき、僕はピアノを弾いてる。時々自分の8トラックを持って行って、アイデアをレイアウトしてるよ」


Q: "ミシガン"はすでに魅力的なアルバムだった。でも"イリノイ"は少なくとも頭三つは上を行っているよね。2枚のアルバムの間で一番進歩したのはどこだと思う?

「自信がついたこと。サウンド、楽器、特に管楽器のコントロールで。それから何より、自分の声を見つけたと思う。だから僕はソングライターとしての進歩に加えて、シンガーとしてもさらに進歩した。声にずっと自信が出てずっと正確になったのと同時に、音楽のビジョンも明瞭になった。
"ミシガン"は僕にとってはかなり私的なアルバムだったけれど、"イリノイ"は完全に外向きだ。実際に僕があまりよく知らなかった、この国の歴史や伝説をいくらか理解しようという方にね。
だから"イリノイ"は技術的によりコントロールされているし、形式においてより正確だ。というのは、内容はそれほどパーソナルではないから」


Q: "ミシガン"を出した後で、君の身内や友人はなんて言った?この調子で続けるように励ましたりしたのかな?

「僕と友達の関係は、同世代の多くのアメリカ人と同じくかなりひかえめだ。だから僕達の間ではあまりそういった話はしないし、その必要がないくらい理解しあってるよ…
今僕はとりわけ、少し前にグループに加わったギタリストのシャラ(ウォルデン)と、音楽的にとても豊かなつきあいをしている。彼女は声に関するすべてを自在に使いこなす。彼女と仕事しながら、僕はすごく進歩している。彼女がいなかったら、そして彼女が歌と弦楽器のアレンジでもたらしてくれたものがなかったら、僕は昨日の夜のコンサートに取りかかる勇気が持てたかどうか自信がない…
シャラは曲も書く。彼女自身のプロジェクト、マイ・ブライテスト・ダイヤモンドも持っていて、その曲はアズマティック・キティからリリースする予定だよ」


Q: でも、周りの誰も君を誉めそやしたりしないのかい?

「(苦笑)…うん、大して。グループと僕はまず、仲間意識とユーモアと、いつも変わらぬいいムードに基づく一種の関係を築いた。そんなふうに、僕達は理解し合い、尊敬し合っている。僕は秘密を握った会社の社長じゃないし、彼らも僕に雇われてるわけじゃない。彼らが僕に対するのと同じくらい、僕は彼らをすごいと思ってる。それに、誰かに誉められすぎれば、そりゃあ気詰まりだよ」


Q: プレスの言うことに、恥ずかしくなったりする?

「時にはね…。ちょっと大げさだと思うこともある。僕はまだ自分の最高のレベルではないと思うから。ああいう熱狂的な記事のことは、あまり考えたくない。僕はむしろ、10年後に自分のディスクがまだ話題にされているかどうか自問してるよ。
作品は評価されるのが早すぎるように思えるし、アーティストは早々に即席評価の巨大なシステムの中に放り込まれてしまっているようだ。僕達はたちまち期待の新人アーティストの座につくけれど、あっという間に過去の人になる恐れがある…
僕はというと、自分に時間を与えることにした」

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Comments

つきさんこんばんは。

このブログで初めて彼の存在を知ったのですが、偶然仲間もハマっていたので強烈に勧められ「イリノイ」と「ミシガン」は私も持っています。

「ポップミュージックの歴史をひもとけば、ごく短い期間、何十年かのうちに、すべては語られ、歌われ、録音されて売り出されたことが分かる。未開拓の場所なんてほとんど残っていない。」

この言葉には非常に共感しました。まさに我が意を得たりといったところでしょうか。

調べてみたら彼と私は同い年(誕生日もかなり近い!)なんですよね。
70年代から90年代にかけてポップ、ロックミュージックが様々な形になって疾走し、21世紀になって少し燃え尽きた感が私にはあるのですがそんな私にスフィアンのアルバムは非常に新鮮に聞こえましたよ。

Posted by: シャベル | 2009.10.20 at 23:47

わー、読んでいただいて嬉しいです!
イリノイもミシガンも、少し色は違うけどいいアルバムですよね。私はまずイリノイから入って、その後でミシガンを聴いたときにはちょっと地味に感じたのですが、今では"Holland"みたいな曲は本当にシンプルで美しいと思います…

やはり音はすべてを物語るんだな…というか、インタビューを読んで、彼の音楽に惹かれた理由が改めて分かったような気がしました。
こんなと散らかったブログをやっている身には、「いろんなスタイルの曲をやっているけど、僕のヴォーカルで統一は生まれるはず」という彼の言葉は励みになりますcoldsweats01

シャベルさんの挙げられた部分、ほんとにそのとおりですよね。最近の音楽は、もっぱらオマージュという名のイージーな複製と反復…(21世紀に入った頃からの新しい音楽にあまり興味をもてないのは…年のせいじゃないと思いたい!)
その中で、スフィアンの音楽は「一体これはどのへんのカテゴリーに属するんだろう」というのがサッパリ分からない、新鮮なオドロキでした。私にとっても…

同じ時代を生きて、同じ音を聴き、きっと同じようなことを考えてきただろう同世代のミュージシャンには、特別な共感がありますよね。
あ、この間新譜出たんですよ。でも今月は金欠…

Posted by: つき | 2009.10.21 at 18:15

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