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2009.05.11

美は乱調にあり

Maxime奔放な個性(フランス代表では抑えてるそうです)とプロフェッショナリズムがスリリングにせめぎ合うフランスラグビーの若き才能、マキシム・メダール君。
レキップマガジンに掲載された彼のインタビューは、フランスのスポーツに通底する美意識の点でなかなか興味深い内容でした。つまりそれは、カッコよくいえば自由の希求、レジスタンスじゃないかってことですね。フレンチ・フレアーにせよ、シルヴァン・シャヴァネルのアタックにせよ。


「あちこちの美術館を観に行って、学び、知り、たくさんのことを受け入れるように心がけている。モダンアートでも、もっとクラシックなアートでも。僕は1つの考えだけに凝り固まりたくない。自分の想像の世界を働かせようと努めてるよ…」

彫刻家に転身したジャン=ピエール・リーヴの例もあるけれど、メダールもまたクリエイティブな活動全般に関心の高い選手のようです。将来インテリアの設計士になるためにデザインの勉強もしているそうで、それは「楽しみ以上に、スポーツの面で自分に何かをもたらしてもいるかもしれない」、と彼は言います。
デザインでもグラウンドでも、常に創造的であるように努力している。実際、創造性の重視はトゥールーズのラグビースクールの育成方針でもあります。


何事も枠にはまらないスタイルを好むメダールは(ディヴィッド・ラシャペルの世界が大好きらしい)、自分にとってラグビーは「自由の問題」と言い切ります。

「ラグビーには美的な一面がある。僕達はアーティストじゃないけど、ちょっとアクター的かもしれない。スタジアムに来る人々は、スペクタクルを見るためにも金を払っている。僕達は彼らにそれを与えたい。
僕達の試合でスタジアムが満員なのは、それなりの理由があってのことだ。他のチームにいたら、僕はうんざりしてしまうだろう。というのは、僕達はこうして大金を稼いでいるのに、今でもラグビーは僕にとっては自由の問題のままだから」

「子供の頃、僕はラグビーで嫌な日常から逃れることができた。生活の問題、両親の離婚。そんな時トレーニングに行くと、周りのことはすっかり頭から消え去った。そこがよかったんだ。
今でもそれは同じ。僕はいつでも自らの混乱の中で生きることができるように戦っていた。全部があらかじめ決められているような制約を与えられたら、自分が土壇場ですべてを変えるだろうってことは分かってる。僕にはそんな状況から自分を救い出す何かが見えるだろうから。プレーでと同じように、何か行動を起こす時、自分がしようとしていることは自分でも分かっていない」


本人いわく、「自分はむしろ本能的・直感的な選手」。まさしく。しかし実際チームスポーツにおいて自由を求めることは、しばしば独りよがりな自慰行為と紙一重です。しかしメダールは、今ではプロフェッショナルとして求められることを自覚している、と言います。
プロ選手としての彼に大きな影響を与えたものの1つは、ボクシングの経験。

「20歳の頃は試合中に消えることもあった。美しいアクションをして、それから20分間はもうボールに触らないという調子だった。いい評価が残るようにね!今では僕はコンスタントでいられる。それを教えてくれたのは、特にボクシングだ。
それはほとんどスタメンに入れなかった時期のことだった。人々はスタッドが僕と契約したのは間違いだったと言い始めていた。頭が変になりそうだったよ。07年の夏の間、僕はボクシングを始めようと決めた。ブラニャックでマヤル・モンシプールのコーチと何週間かジムでトレーニングしたんだけど、それは大いにためになったよ。まず7キロ落とした。でも何より謙虚であること、自分自身と他者を尊重することを学んだ…
ボクシングではヤツらは相手をぶちのめすけど、ヤツらは相手をリスペクトしている。僕はトレーニングを好きになることも学んだよ」


↓このグラビアには「なんでボクシング?」と思ったけど、なるほど経験者だったのね。
http://www.cpierrestyle.com/images/maxime-medard.jpg

余談ですが、このレキップ・マガジンの記事にはギャラリーで美術鑑賞中のメダールの写真が載っていて、彼の後ろには田中敦子の作品が掛かってます。
おのれの語学力(含日本語)の貧困さを痛感するエントリですた_| ̄|◯

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Comments

あ~、あらゆる意味でトゥールーザンなのですね、メダールは。
いい選手になるか、スポイルされるか、二択ですかね。。。
もちろん、いい選手になって欲しいです。とりあえず、ラグビーの旧弊な枠はかる~く乗り越えていきそう。

Posted by: machvili | 2009.05.15 at 08:11

コテコテのトゥールーザンでしたねー。代表では優等生だと思ってたので、この記事読んで吹きました。というか、トゥールーザンである以上に自分は自分、そんなタイプに見えますね。
お休みの時はパリに展覧会を見に来たりしてるようですよ。プルースやジョジオンの世代よりは、良くも悪しくもイマドキ、柔軟な印象です。

>ラグビーの旧弊な枠はかる~く乗り越えていきそう
ほんと、そんな感じですね。なかなか面白い個性だと思うので、うまくいってほしいです。

Posted by: つき | 2009.05.16 at 01:30

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