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2009.05.06

キニナル絵画 連想リレー(1)

ごく最近ふとしたことで、ニューヨーク在住の画家、エイプリル・ゴーニック(1953年、オハイオ州クリーブランド出身)のサイトを見つけました。(http://www.aprilgornik.com/
彼女の作品を知ったのは、ずいぶん前の『美術手帖』誌で。形式としてはすでに「終った」と思われていた風景画の復興を紹介する特集でした。
嵐の直前の不安な空や、洪水で水没した並木道。気になって、当時洋書店で画集を探したけれど見つからず、ナ○ィッフの店員さんも彼女の名前を知らなかった。それきり忘れていた画家。

『美術手帖』の記事では、ドイツ・ロマン主義絵画のカスパー・ダーヴィト・フリードリヒを引き合いに出して語られていたように記憶しているけれど、私が思い出したのはむしろ現代の、リチャード・ミズラックといった写真家の作品や、何より(ロマン主義絵画をある面で継承してもいる)ゲルハルト・リヒターの風景画のシリーズ*でした。

ゴーニックはほぼ伝統的な風景画の手法で、ドラマティックな大気の現象としての風景を、しかし現実には存在しないイメージとして描く。彼女の作品は明らかに、視覚的現実はすべて仮象であるという認識のもとに現代を通過しています。
そこには新表現主義のマチズムや、リヒターの厳しいストイシズムは見いだせません。ゴーニックにとって風景画という形式は、彼女自身が知覚する「世界」にかたちを与えるために選択された、1つの私的な手段なのです。


(* ゲルハルト・リヒターは、写真を元に忠実に描き写した、しかしソフトフォーカスな風景を、彼のアブストラクトな作品群と併置しながら「絵画表現とは何か」という問いを浮き彫りにします)

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