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2009.03.26

アンチ・ドーピングの小さな爆弾

18日、フランスのアンチ・ドーピング機関AFLDが、08年にサッカリーグ1とリーグ2、ラグビーTop14とProD2、陸上競技と自転車競技(アマチュアとプロ)で選手から採取した毛髪のドーピング検査の結果を発表しました。そしてこの結果はフランスのスポーツ界にそれなりの驚きを与えたようです。

専門の2つの研究所による分析の結果、無作為に選ばれたサンプル138につき、22ケースにアナボリックステロイド使用の痕跡が認められたらしい。より正確には、18ケースはDHEA、3ケースはテストステロン、残り1ケースはその2つの混合。
AMA(WADA)の禁止薬物DHEA(デヒドロエピアンドロステロン)はフランス国内では販売が禁止されているようですが、インターネットで簡単に入手ができる。

検査の対象となった4つの競技で、陽性反応は「神聖にして侵すべからざる」サッカーが32サンプルのうち7ケースで実は最も多かった(21.8%)。次いでアマチュア自転車競技(17.6%)、ラグビー(16.7%)、陸上競技(13.22%)、最後にプロ自転車競技(10.8%)。
「この結果はプロサッカーとプロラグビーにとって非常に憂慮すべきものだ」、とAFLDの会長。「私は個人的に、ベルナール・ラポルトの他にこの2つの協会の会長と医師に警告した。彼らはそのことで感謝していた」

今回の発表はあくまで警告のメッセージを送るためのようで、AFLDは選手の名前は外部に漏らさないこと、何の懲戒処分も取らないことを明言しています。なので、陽性反応が出たのがフランス人選手なのか、それとも外国人選手なのかは、それぞれの協会長にも知らされていないようです。
選手名の公表や処罰がされないのはつまり、毛髪や爪などの分析はこれまでWADAから認められていないから、ということらしい。


18日の朝、ラグビーフランス代表の選手達はマルクシに取材に来た記者達からこのニュースを知らされ、一様に驚きの声を伝えた模様です。
「僕達は自転車競技でそれを経験した。いくつかのスポーツは本当にドーピングによって汚され、イメージを大きく損なった。同じことがラグビーで起こるとは悲しい。この流れを避けなければ」(トライユ談)

ラグビーフランス代表は通常は尿と血液のドーピング検査を受けていますが、昨年末ごろのニュースで、それに加えて今年の初めから抜き打ち検査のための所在報告(だと思う)が義務づけられるらしい、という記事を見かけました。それは実際まだ揉めている様子ですが、AFLDにとって、今回の結果は所在報告の有用性を正当化するものでもあるわけです。
この点については、選手側はやはりほぼ全員一致で反対の立場。「僕達を検査したいなら、トレーニング場に来れば十分だ。僕達はいつも同じ場所でトレーニングしているんだから」とはトライユ。絶えず違った場所でトレーニングしているような個人競技ならともかく、ラグビーのようなチームスポーツでこの強制的すぎる方法が有効かどうかについて、選手達は懐疑的です。

今回の分析結果を受けて、FFRのPierre Camou会長は、探していることが見つかっただけで驚いてはいない、ドーピングを行うぺてん師は代償を払うということが周知されたのは喜ばしいことだ、とコメントしています。フランスラグビーはアンチ・ドーピングの取り組みに向けて前進している、と。
「我々は我々の倫理と選手の健康にこだわっている。すべてはこの方向でなされている。行き過ぎもあるかもしれないが」

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Comments

日本のラグビー界では、大麻に手を染めてひっかかった人もいましたが、競技力向上を狙った薬物の扱いは、どのプロスポーツにもついて回る難題ですね。

WADAの監督が行き過ぎるのもクリーンな選手には迷惑だし、うまいことやろうとする選手・コーチ・チームの医師(こいつが実は悪者のことが…)は摘発しないと競技の存続が危機に瀕するわけで、そのバランスが実に難しいところと思います。

Posted by: neuron | 2009.03.27 08:03

フランスは厳しいですね。所在報告とは、これから自転車並みに厳しくなっていくんでしょうか。クリーンな選手にはますます負担が増えてしまいますが、他に手段があるのかというと…。選手に薬を渡す人に罰が与えられればいいのですが、難しいようですね。

身近に病気でステロイド剤を飲んでいる人がいるのですが、副作用で本当に大変な思いをしていて、私は健康な人にああいった薬を取ってほしくはないです…

Posted by: つき | 2009.03.27 22:25

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