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2008.11.26

テストマッチ フランス対オーストラリア(2) 徴(しるし)は至る所に

Palissonaus今からでも間に合う再放送
11月27日(木) 17:30~19:30
12月12日(金)  15:00~17:00 J sports Plus

ここではつい問題点ばかりを書いてしまいがちなんだけど、それでもフランス代表の試合を見るのは楽しい体験だ、ということは言っておかねばなりません。
フランスのラグビージャーナリズムは大抵自国の代表に手厳しいですが、それは主に彼らは非常に要求が多いからで、展開して負ければ「リアリズムが足りなかった」と言い、キックゲームに勝てば「選手達はスペクタクルの質を気にかけていないように思われる。彼らは勝ちたかった、それだけだ」なんてことを書く。
とはいえ、もちろん世の中には「勝ちゃあいいんだ」というジャーナリズムだっていくらでも存在するわけ。


と前置きしつつ、さあ今日はいいことを書きますよぉ。ワラビーズ戦を振り返ってみれば、ハーフタイムの直前に渾身のスクラムでペナルティトライをもぎ取った場面に象徴されるように、FW陣のプレーはよかった。中でも3列。アリノルドキ、デュソトワール、ウドゥラオゴ、ピカモールのパフォーマンスは、秋のテストマッチ最大の収穫といっていいかもしれません。

同様に、このテストマッチの勝者の1人と見られているのはもちろんシャバル。2列でスタッフを納得させたばかりか、チームのリーダーの1人としての存在感さえ示しております。
メダールやパリソンといった若手のよき兄貴もやってるみたいで、プーマス戦のキックオフの前には、メダールに「ハイパントのレセプションをうまくやれ。心配するな、万事うまくいく」なんてわざわざ声をかけたりしていたらしい。まー若い子には優しい。

3試合すべてで先発したスザルゼウスキですが、まさかスローインで「正確」と書かれる日が来ようとは思わなかったス。とはいえ私は、実は「ワラビーズのHOもだけど、全然まっすぐ入ってない気がする…」と首をひねりながら中継を見てた(そう思っていたのは私だけではない模様)。全体的によく分かんないジャッジだったですね。世界ピザ投げ選手権の覇権については次回に持ち越しです。
ディフェンスも正確、「チームを前進させるために何度も突撃の合図を鳴らした」という評はほんとにそんな感じですね。スタッフはもう5分だけ、彼をグラウンドに置いておいてもよかったかもしれない。地元パリのお客さんのオベイションの中、元スタッド・フランセのケイゼルと交代で下がる時に、観客席を見上げる映像はよかった。

エリサルドが代表の№1SHであることには変わりないとしても、ティユス=ボルドゥは確実に評価を上げました。ワラビーズ戦でも持ち前の強さと積極性を見せましたが、あんまり器用な方じゃないのか、球出しについては交代したトマの方が早くて安定していたように見えました。ここはちょっとフランスの致命傷になりがちなところなので、今後の向上をぜひお願い。

その他フランスに一時勝ち越しを許したメダールの48メートルのDGや、シャバルの左足のキック、ジョジオンの重厚な走りなどなど、印象的なディティールは多々ありました。
スクレラはSDFの厳しいお客さんからブーイングされてしまったけど、キックとシンビン以外はむしろよくやっていた。まあパリジャンにしてみれば、「お前つい1ヶ月前(スタッド・フランセVSトゥールーズ)、ここでどっかんどっかんハイパント蹴ってDG通したやんけ」という感情もなくはなさそうな気がするし、それはまあ若干分からんでもな…いやいや…

1つ気になったのは、唯一シャバルが試合後にオーストラリアに対してかなり激しい発言をしていたことで、つまり彼はこの試合の前に、オーストラリアからずいぶん「馬鹿にされた」と感じていたらしいんだけど、それが具体的に何を指しているのかは分からない。多分彼も参加した夏のテストマッチで、「2軍を送るとは失礼だ」と批判されたことじゃないかと思うんだけど…
各国のスケジュールの調整にはいろいろと問題もあるけれど、フランスもテストマッチを中心にスケジュールを組むわけにはいかず、あの時は組める範囲でベストなチームを送ったと思います。最後にトライを挙げてそのまま突っ伏してしまったトラン=デュックの映像を見るまでもなく、彼らはやれるだけのことはすべてやったのではないかな。テストマッチの敬意とは?

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Comments

見てきました。寒かったです。気温もですが、いろいろ不満が…。ちゃんと誉めていらっしゃって、つきさんは素晴らしいですね。

シャバルキックにも驚きましたが、認定トライのスクラムは感動しました!気合が入りまくり。メダールのドロップも見事。

スクレラは代表戦よりもパリ戦の方がリラックスしていたようですね(笑)彼の師匠ディはよくあるのに、あれだけキックに固執したのはどうしてなんでしょう?トライユは声をかけられる雰囲気ではなかったと言っていましたが、そんなこと、スクレラにしては珍しい気がします。

スザルゼウスキの面白スローインはカイゼールと比較してではないですか?完全に抜かれてしまったようですね(笑)

厳しいことを言うようですが、大きな口をたたく割りにはやっていることが滅茶苦茶なマルクさん軍団に大いに心配させられています。フランス代表、チームとして「完成」する時は来るのでしょうか…?

Posted by: machvili | 2008.11.27 at 09:32

あ、見に行かれたのですか!お疲れ様でしたー、寒そうでしたね。終了直前のSDFのラ・マルセイエーズ大合唱はよかったですね。

>ちゃんと誉めていらっしゃって
日本では数少ない中継のチャンスなので、どうせならまずいメシでも極力おいしくいただこうという貧乏根性なんでございます。
TV中継だとグラウンドの一部しか見えないけど、すぐ上から全体をご覧になると、またいろんな粗が見えそうな…

ペナルティトライにはしびれました!FWカッコイイ。Jスポの中継では藤島さんが、ナレの組み方は今のルールだと反則だと指摘してらっしゃって、ちょっと残念。ナレは最後まで調子よくなかったですね。

>トライユは声をかけられる雰囲気ではなかったと言っていましたが
そうだったんですかー…思い詰めちゃったのかな。
エリサルドが抜けた時、スクレラがキッカーとして責任感を感じすぎなければいいけど、とちょっと心配でした。というか、スタッフはトライユがキッカーのケースを想定してなかったのかどうか、全体にラポルトの時の教訓が活かされていないのですよね。私はなんか、en constructionのままW杯に突入しそうな気がしてきました…

スザルゼウスキのスローは、ほんとのこと言うと、これがテストマッチでなかったらやばかった気もします…ジャッジ的に。最近はフランス人も諦めて「生暖かく見守る」の境地に入ってる感じですね。
しかしラインアウトでは頼りになると思っていたケイゼルが、ワラビーズ戦でピザ化したのはショック。みんなスザルゼウスキに合わせてるうちに、わけわかんなくなっちゃったんちゃうかと。

Posted by: つき | 2008.11.27 at 17:53

あの、足の間に両腕とも通すやつですね(サンドニの頭上カメラはスクラム的に面白いですよね)。
我が家のラグまにあによりますと、フランスが2006年のワールドカップ直前の遠征でニュージーランドにやられて惨敗し、その後、パクってイングランドのスクラムに勝った組方らしいです。
ルールブックにもそこまで細かい規定は書かれていないし、何度も見ているけれど審判に怒られていた記憶はありませんし、反則というよりは今のところグレーゾーンなのかと。
スクラムだと、ついつい一列に目がいってしまいますけど、二列も大切なんですねぇ。

キッカーがいないというのは、フランスのお家芸なんでしょうか。ポテンシャルとしては、バビーも蹴れましたよね。
ラポルトの初期もこんな感じだったのかと想像すると、マルクの首はまだまだつながっていそう。ドメネクの例もありますし…。
選手はレベルが高いのに、あんなコーチングされちゃな~。

Posted by: machvili | 2008.11.27 at 20:08

いや、やっぱり反則のようですね。ルール上では。

ただ、その組み方が反則だというコンセンサスが出来上がっていると言えるかどうかは微妙です。
今回の試合でも両チームとも何度もそうやってスクラムを組んでますし、例のトライにつながったスクラムでも、ナレだけでなくシャープの腕も下に入っていましたよ。そういう意味で、勝ちは勝ちなんじゃないかとsmile

Posted by: machvili | 2008.11.28 at 00:39

>あの、足の間に両腕とも通すやつですね
そうそう、それです。藤島さんは「当初は認められていたけど"今季は"ファウルを取られる」とおっしゃってたので、ルールが変わったのはごく最近のことなのかな?新ルールになってラックのジャッジに関してはずいぶん厳しくなったけど…

>シャープの腕も下に入っていましたよ
あ、そうなんだ…。スクラムの中では実際、どこも見えないところでいろいろやっているみたいですよね。シェリダンは地面に肘をついてスクラムを崩そうとしていたし。

スクレラはハムストリングを痛めたそうですが、もしやハイパントの蹴りすぎとか?。バビーはアルゼンチン戦で蹴っていたけど、早い時点で彼が下がったのも痛かったです。W杯開幕戦では、スクレラが下がった後のキッカー不在の10分間が結構高くついた記憶がありますが、そのあたりの采配って重要なんですね。
リエヴルモンは試合後の会見で、「キックミスは試合の一部」とか、代わりにマルジューの名前を挙げて選手のパフォーマンスを批判するより先に、「蹴らせ続けたのは自分の責任」と言うべきだったんじゃないかという気がします…

メディアはシックスネイションズの発展形を期待したのに、今回のキック中心のゲームに失望しているみたいですね。私のようなシロウトが言っちゃいけないかもしれないけど、やっぱり今のスタッフは正代表を指揮するには経験不足すぎる気がします。machviliさんはどのあたりが問題とお感じでしょうか。

Posted by: つき | 2008.11.28 at 15:01

そうなんですか。細かいルール規定をしっかり把握してコメントができる解説者の方は頼りになりますね!

リエーヴルモンに関しては、つきさんのおっしゃる通りだと思います。私のようなシロウトでも気づくような問題点を指摘すれば、
・世界とアンダー21とのレベルの差が分かっていない。
・その差を埋めるようなステップを踏んでいない。具体的には、情報量が圧倒的に不足。相手国についてのみならず、自国選手についてもあまりよく知らない。
・一貫性がない。若手を育てると言いつつ、未来のないおじちゃんをたくさん起用したり。よぼよぼのナレを固定キャプテンにしたり。蹴っちゃイヤと言いつつ、最後にはキックに妥協したり。
・選手選考が不可解。クラブでレギュラーをとってもいない選手を招集して、さらにそれを使わないとか。終了5分前に入れるとか。
・選手交代が足をひっぱっている。重要なディフェンスの局面でディフェンスの強い選手を外したり、スクラムが勝ち始めた途端に一列を代えたり。
・現場の人間のくせに、コンセプトオンリーでディティールに乏しい。

と、挙げていけばキリがありませんが、要するに監督がマルクになってマイナス面しか見えないことなんです。一貫性のない実験は実を結びませんよね、たぶん?ダックスを率いている弟さんの方がよくやってると思います。

何よりも問題なのは、コメントを見ても分かるとおり、責任感がないこととフランス代表の格を落としている自覚がないこと。

長々と書いてすみません。でも何をどう考えたら、マルジューのプレーを責める方向にむかうのか、まったく分かりません。あれ、むしろいいプレーだったと思うんですが…。

Posted by: machvili | 2008.11.28 at 23:07

はじめまして。
いつも、このブログでフランス・ラグビーの勉強をさせてもらってます。

1週間の欧州旅行の締めくくりにこの試合、見てきました。
私みたいな田舎者には試合の内容云々よりも、
あの8万人の熱気がすごすぎて・・・。

これからも、更新楽しみにしてますね~。

Posted by: こも | 2008.11.28 at 23:55

machviliさん

一貫性はない…なんて贅沢な試行錯誤なんだろう、という感じです。シックスネイションズは選手のテスト、今回のテストマッチは戦術の実験、ということだったんでしょうか。
スタッフも試合の前にはいろいろと研究してプランを練っているらしき雰囲気はあるんですが、試合の流れの中でコーチングがあまり機能していませんね。
交代もそうですね。ワラビーズ戦では、珍しくスローが安定していたスザルゼウスキを下げるのが少しだけ早かった気がしました。

ナレの主将起用は、たとえばイバネスのようにチームに強い影響力を持つベテランを敬遠したからかもしれないし、ビッグクラブ間の力関係を避けたかったのかもしれない…。今回、怪我から復帰したばかりのナレにこだわらなくてもよかったかもしれませんね。
大勢の重要なベテランが詰め腹を切らされるように代表を去りましたが、世代交代の断絶で、W杯の教訓が十分に伝えられていないような気もするのが心配です。

リエヴルモンは会見の発言にはもう少し気をつけた方がよさそうです。選手の信頼をなくしてしまいます。
ダックスは頑張ってますよねー。

Posted by: つき | 2008.12.01 at 00:03

こもさんはじめまして、ラグビーに関しては私も激しく勉強中で、このブログは私の自習ノート公開みたいなものなのです。お役に立つかどうか相当怪しいのですが、見ていただけて嬉しいです!

>1週間の欧州旅行の締めくくりにこの試合、見てきました
それはうらやましい…!フランスのラグビースタジアムは、情熱的で独特ですよね。
試合の最後に、勝利を信じてお客さんがラ・マルセイエーズを大合唱する場面を中継で見ました。フランスは負けちゃったけど、あの場に居合わせたかったものです。ブログ拝見させていただきました。今度観戦記など…いかがでしょう??

>これからも、更新楽しみにしてますね~。
ありがとうございます、励みになりますー。

Posted by: つき | 2008.12.01 at 00:15

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