« Top14開幕 | Main | マジシャン復帰 »

2008.09.03

ツール・ド・フランスいまさら日記 「自転車、それは」

Cav52008年のツール・ド・フランスは、ラルプ・デュエズの激闘を制したサストレがTTでもマイヨ・ジョーヌを守って初の総合優勝。「自転車はチームによって争われる個人競技」というパラドクスをいかに解釈するかという点で、多分CSCは最もモダンだった。
シャンゼリゼに向かう最終ステージは、3週間の旅を共にしたバイクカメラマン等「カメラのこちら側」の人々も顔を出し、パレードのような和やかな雰囲気のうちに進行。ステージ優勝はステーグマンで、クイックステップにとってもよかったんじゃないかな。


一周遅れの私のツールも終わってしまい、寂しいので最近は関連のニュースやインタビュー記事を掘り起こして読んでます。シャヴァネルが「自転車、それはアタック」(w)みたいなこと言っててえらくカッコいいっス。カヴェンディッシュなら、そこは「自転車、それは情熱」と言うだろうね。カヴの話の中にはpassionという言葉がたびたび出てきて、ちょっと感じ入った。
カヴェンディッシュの走りを見たのは今回のツールが初めてで、それはトゥールーズの雨中のゴールの時だったんだけど、あのパンクなスプリントに唖然、その後にポディウムで仰向けにすべり転ぶ動画を見て、「本物」(何の)と確信しました…君は天然だね?

レキップは、カヴの切り札はトラック競技で身につけた爆発的な加速力に加えて、位置取りのセンスだと見ている。「カヴェンディッシュはチーム全体で連れて行く必要がない。集団スプリントの中でもパニックに陥らないし、いつでもいいコースを取ることができるんだ」、とはツールの前に語ったフェイユのコメント。第13ステージのゴールの時に、カヴの背中をポンと叩いた選手だったかな。
この位置取りのセンスが、チッポリーニやペタッキとカヴを分ける特質だと言うんだけれど、そのへんの話はニワカの私にはよく分からない。

ニームで4勝目を挙げた時、その独占一人勝ち状態のことで記者から「あんまり気前がよくないよね?」と言われて、「今日はそのことでプロトンの中でからかわれたよ。でも僕も仕事だし。それに僕はマイヨ・ヴェールだって取ってないんだ」なんて茶目っ気まじりに言い訳したそうで。
マネージャーのボブ・ステイプルトンはこういったカヴの個性について、「チームにはキム(キルシェン)のような控え目なヤツもいれば、マークみたいなヤツもいる」なんて言っているそうだけど、ただしカヴは自転車について話す時にはそれほど冗談を言わないようだ。
「僕は自転車競技をパッションと考えてる。レースの間もレースの外でも楽しまなきゃね」、というのがカヴの基本姿勢らしい。

そんな彼の自転車体験の原点は通学途中のスプリントだった、というのはJスポーツのツール中継でもちょっと触れられてました。出身地のマン島ではとかくモータースポーツの方に話題が集まるけれど、自転車にも熱狂的な土地柄なんだよ、とカヴ。

「グレート・ブリテンでは他にはどこにもないような、自転車に熱い所なんだ。僕はいつだって自転車選手になりたかった。学校の行き帰りに友達とスプリントしてたよ。最初の自転車はBMXだったんだけど、僕はいつもビリだった。ところがロードバイクを買ってもらった途端に勝ったんだ。すべてはそこから始まった」

「ピレネーが怖いかって?いや全然。心配はしてないよ。僕は自転車に乗ってるのがハッピーなんだ。ほら、僕は銀行で働いていたでしょ。断言していいけど、銀行務めはツール・ド・フランスで走るより全然楽しくないよ!今は雪が降ろうと雨が降ろうと風が吹こうと、どうってことない。すごく楽しいんだ」

またあのはじける情熱の塊みたいなスプリントが見たいものだなァ…って、ブエルタにコロンビア出てないジャン。

|

« Top14開幕 | Main | マジシャン復帰 »

Comments

> チッポリーニやペタッキ
ゴール前まで列車を組んで最後に発射して勝つ必勝パターンを生んだのがチッポリーニで(『Saecoトレイン』)、その流れにいるのがペタッキです。サッカーのフォーメーション(4-2-3-1とか)に「はやり」があるのと似ているかもしれません。

カヴェンディッシュはフレイレやマキュアンなどと同じく、自力でやってけるスプリンター。ただしマキュアンの場合はヨソのチームの列車をちゃっかり利用したりもするので「タダ乗り」だの「PASMOチャージOK」だの言われるわけですが。

あと、一流のトップスプリンターになるには、プロトンでリスペクトされるようになることが不可欠であるなどとよく聞きます。今年のジロでは、発言がやんちゃなカヴはそこまで至ってない的な評価を目にしました。ベンナーティが昨シーズン終盤に「ようやく道を開けてもらえるようになった!」と開眼(?)してたようなので、カヴの場合はこれから数こなして処世術を学ぶ段階ですかねー。

下世話な話だけど、好かれるタイプか否かって、集団行動(笑)のロードレースにおいては凄く大事なんですね。そりゃそうですよね。

Posted by: miki | 2008.09.03 at 14:40

なるほどそういうことでしたか、ありがとうございます!加速力では共通しているけど、チッポリーニやペタッキはゴール前はチームで勝つタイプなんですね。

カヴはわりとはっきりものを言うタイプですよね。まあ若いうちはあのくらいが、なんて思っちゃうのは、あのテのタイプがざらざらいる英国音楽界に私が慣れすぎだからしょうか。特にイギリスは、マスコミとの関わり方もまた独特ですもんね。まだ若いし、失敗したり叩かれたりしながら学んでいけばいいんでないかなあ、と思います。

しかしプロトンも意外と体育会系の世界なんでしょうかねェ。いや当たり前か…

Posted by: つき | 2008.09.04 at 14:42

> イギリスは、マスコミとの関わり方もまた独特
つきさん、もしかしたらデヴィッド・ミラー(a.k.a.舞妓はん)とか好きなタイプかもしれませんよ。ミラーはスコットランド人で、発言がかなりアレなひとです(笑)。

こんだけ集団内における紳士協定とか不文律とかが重んじられるスポーツって珍しいので、そこが興味深いわけなんすけど、考えてみたらその特徴そのものが、ドービングの温床となってんのかナァ、なんて・・・。

Posted by: miki | 2008.09.04 at 23:28

あー、そうかも…。独特な呉越同舟的競技ですよね。でもリッコの一件に対するプロトンの反応にはちょっとびっくりしました。変わってきているのか、トカゲの尻尾斬りなのか…

>発言がかなりアレなひとです

それはビッグマウスということでしょうか。それとも不思議ちゃん…?

Posted by: つき | 2008.09.05 at 01:34

ザブみたいな異次元のフシギちゃんは他に見ないなあ(笑)。でも、サッカーのGKみたく、RRのTTスペシャリストって、マイペースで変わってる人が多い気が。

ミラー(=TTスペシャリスト)はジェントルマンとかダンディとか形容されるほどのトラディショナルなお洒落さんなのに、口を開くとFワード連発しながら、かなりキツイこといいますよ。自分がマスコミの人間なら、ギャップが面白いからご意見番として活用したいですもん。

リッコはビッグマウスの権化でしたね。
謹慎喰らうまではホントに“プロトンのヒール役”だったけど、
「医者がバレないっつーからあの薬使ったのに、バレたんだから金は払わない、払うわけねーじゃん!」
・・・て、ここまで来ると逆に好きになる人多いかも(笑)。
ちなみにリッコ、これからはジムのインストラクターとして働くそうです。

確かに、かつては正直者がバカを見ていた状況だったのが、徐々に変わってきてる気がしますねー

Posted by: miki | 2008.09.05 at 16:03

>Fワード連発

毒舌の人でしたかー。いいですねえ、連綿と続く英国毒舌ミュージシャン(兼ご意見番)の系譜に心ひかれる立場としては、聞き流せません。たぶん韻とかに敏感な人で、あれで語調を整えているんでしょうね(違う)。さすがに記事ではカットされているのかなあ…

リッコはあんまり物事を深く考えるタイプには見えないんですが(慎重に言葉を選んでいる)、そのテの人ならではのいきなり核心を突く直球に、むしろ好感度上昇中です。
抽象的な「ドーピングと戦う」キャンペーンよりも、彼はむしろ的確に問題の根本を突いているんじゃないでしょうか。選手にクスリを渡すのは誰かという。

Posted by: つき | 2008.09.07 at 17:54

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/91018/42363839

Listed below are links to weblogs that reference ツール・ド・フランスいまさら日記 「自転車、それは」:

« Top14開幕 | Main | マジシャン復帰 »