« 連休中につきナナメ読み落ち穂拾い | Main | ブラディ・ウィークエンド »

2008.05.06

【音楽】 アイム アライヴ (James)

JameshmpJames “Hey Ma”
(Mercury Records Limited)

MySpace公式ページ(“Hey Ma”“Whiteboy”の試聴などできます。いきなり音出ます)
http://www.myspace.com/jamesisnotaperson

ヴォーカルのティム・ブースの脱退から6年、活動停止状態だったジェイムスが昨年再結成したというニュースは、少なくともワタシにとっては十分に事件でした。しかもティムだけでなく、“Whiplash”以後バンドを離れていたギターのラリー・ゴットが復帰している!音楽的には常に変化を続けてきたバンドだけれど、やっぱり個人的にはティム、ジム、ラリーの3人のオリジナル・メンバーがそろって初めて生まれる核のようなものがあるように思います。

01年にティムが脱退した時、ベースのジム・グレニーは「ジェイムスは続く。このバンドの歴史は不幸のバトルフィールドだったけれど、僕達は情熱と決意と自分達を信じることで乗り越えてきたんだ」と公式サイトに声明を出したのだけれど、彼らはいつだって信じて待つ価値のあるバンドでした。
ジムの声明にも表れているように、音楽に向かう彼らの姿勢は一貫して非常に真摯で、それゆえの要領の悪さで不遇の時代も長かった。同じマンチェスターの音楽シーンの出身でティムとも親しかったモリッシーは、「僕は彼らがくぐり抜けてきた試練を見てきたし、マッドチェスター・ムーブメントの中ではジェイムスの成功だけが内容を伴っている」と言い、またニュー・オーダーのピーター・フックは「これこそがU2が本来あるべき姿だ」と言った。ジェイムスはそういうリスペクトとファンの絶大な信頼を受けてきたイギリスの国民的バンドです。


そして先頃、彼らの10枚目に当たる7年ぶりのオリジナル・アルバム“Hey Ma”がリリースされました。クレジットにはトランペットのアンディ・ダイアグラムの名もあります。あの“Gold Mother”、“Seven”の7人です。
再結成したバンドの復帰作がしばしばそうであるように路線に大きな変更はありませんが、単なるカムバック・アルバムでなく過去最高の作品を作ろうという変わらぬ情熱が伝わるものです。なんという充実。彼らの音は今もなお若々しくしなやかで力強い。ゆるやかに流れるような演奏が徐々に熱を帯び、ティムの高く舞い上がる歌声と共にうねりながら上昇していく瞬間にはいつもながら胸が熱くなります。ティム、ジム、ラリーの3人がソングライティングを手がけているため、曲の骨格は“Whiplash”以前に近いものになっています。

アルバムはおそらくティムの息子の誕生にインスパイアされたであろう感動的な“Bubbles”で幕を開けます。ティムが明け方にインスピレーションと共に目覚めて書いたという歌詞もいい。この曲を初めて演奏した時、バンドはその直前にトニー・ウィルソンの訃報を知らされたばかりだったそうです。だから、この曲はトニー・ウィルソンに捧げられた曲でもあります。

タイトル曲“Hey Ma”はちょっと“Sit Down”を想起させるようなポップ・チューンでありながら、いつになく政治性の強い重い歌詞がのせられています( 倒壊するツイン・タワーのイメージや、爆死して遺体袋に詰められ家族のもとに帰る若者たちのことが歌われる。“War...”と繰り返されるサビが印象的)。それもまた彼らが生きてきたこの7年間だということなのでしょう。
その間にティムもすっかりスキンヘッドにヒゲのアヤシイおっさんに。「ママが言うには僕はまるでユル・ブリンナーみたいだってさ。ハムレットには老いすぎて、キング・リアには若すぎる」という“Whiteboy”の歌詞はいくぶん自伝的です。

アルバムのスリーブには、レコーディングのため北フランスのWarsyのシャトーに滞在した時の、7年前より少し年を重ねたメンバーの写真も載せられています。ラリーはここでのレコーディング中に、自分達がずっと探し求めていたかもしれないやり方を見つけたような気がする、と言っている。そうなのかもしれない。
プロデュースはティムのソロアルバム“Bone”も手がけたリー・マディ・ベイカー。

|

« 連休中につきナナメ読み落ち穂拾い | Main | ブラディ・ウィークエンド »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



« 連休中につきナナメ読み落ち穂拾い | Main | ブラディ・ウィークエンド »