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2008.04.10

HUP! (The Wonder Stuff)

HupWonderstuff "Caught in my Shadow" video
http://jp.youtube.com/watch?v=0HFQkbid9Lw

イギリスの作家で英文学者でもあるデイヴィッド・ロッジは『交換教授』の中で、大学で教鞭を取ったバーミンガムをモデルにしたラミッジという町を、「イングランド中部にだらしなく広がる、大きい、ぶざまな工業都市で、三本の自動車専用道路と二十六本の鉄道線路と六つの澱んだ運河が交わるところにある」(高儀進:訳)と例の自虐的ユーモア交じりのトーン(この種の感覚がバランスを保っているうちはイギリスのカルチャーは正しく機能する)で描写したのだけれど、バーミンガムという町が最近どうなっているのかは知らない。
ともかくそのバーミンガムは、(まあいろんなタイプのバンドが出ているのだけど)、わりとストレートなブリティッシュ・ロックの土壌のあるところです。

この町出身のバンド、ワンダー・スタッフがピークだった80年代末から90年代初めのUKミュージック・シーンは、バーミンガムのバンドというと一目(耳)で分かる「色」がありました。ワンダー・スタッフはビジュアルイメージも含めてすごーく「イギリス的」なロックバンドで、ボーカルでフロントマンでもある皮肉屋のマイルス・ハントは「すっごくいいヤツ」と「二度と顔も見たくないヤツ」のはざまを極大の振幅をもって揺れ動く超英国的個性の持ち主。この“Caught in my Shadow”が収録されたトラディショナル・フォーク色の濃いアルバム“Never Loved Elvis”は本国で大ヒットしました。
メディアの作り出す「シーン」の流行に過敏な日本ではわりと傍流的なとらえ方をされたけれど、本国ではスタジアム・クラスを大入りにした人気も実力もあるバンドで、そのあたりはジェイムスの認知のされ方と似ている気がします。

このビデオのストリート・ライブがどういった状況で行われたものかは忘れたけれど、絶頂期の彼らの勢いを感じさせる映像です。キッズは彼らの好きなバンドにある種の信頼を投資する…ロックミュージック、ポップミュージックは実際、音楽としてはそういったいささか特殊なあり方をしています。
それはフット・スタジアムにおいても似たようなところがあるかもしれないし、私個人はファンとプレイヤーの敬意の交換は最も美しいスポーツのエレメントの1つだと思う。少なくとも私にとっては、音楽はファッションでもなければ知的アクセサリーでもありませんでした。

ここに映っているドラマーのマーティン・ギルクスは、2年前の4月3日にオートバイ事故で亡くなり、もうこの世にはいません。

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Comments

つき様、はじめまして、こんにちは。
minaco.さんのところからラグビーワールドカップの際にこちらに辿り着いて、その後も時折お邪魔しています。
フランスのラグビー状況を大変興味深く読ませていただいたり、「ギャビン・ヘンソンの新しい髪型どうよ」などには大いに同意したりしております。
実は最近は音楽のエントリーが楽しみだったりしてます。貼られるエントリーが我が家のCDラックの構成と被ってます!
ワンダー・スタッフは大好きなバンドでした。彼らが地元・ウォルソールのフットボールスタジアムでやったライブは、感動的でしたね。マーティン・ギルクスは来日した時に、握手をしてもらった思い出があります。背の高いハンサムな人でした。R.I.P。ワンダー・スタッフも死者を複数出したバンドになってしまったのですね。

Posted by: Laa-laa | 2008.04.13 at 17:56

Laa-laaさまはじめまして、コメントありがとうございます!

>貼られるエントリーが我が家のCDラックの構成と被ってます!

あ、嬉しい!どのへんだろう。ワンダー・スタッフの来日公演、行かれたのですね。いいなあ、私は「長旅でマイルスが絶不機嫌だったらどうしよう」とか、「ドタキャンの予感!」とかで、ついついチケットを買いそびれてしまったのです。2度目はその予感が的中してしまったわけなのですが。あの当時のバーミンガム近辺のバンドは、ネッズとかポッピーズとかオーシャン・カラー・シーンとかいろいろ聴きました。

マーティン・ギルクスは好きなドラマーでした。4月になると彼やカート・コバーンのことを思い出します。元のベーシストも亡くなったのですよね。

ヘンソンのあれは彼女の趣味なんでしょうか…

Posted by: つき | 2008.04.14 at 20:37

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