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2008.02.13

 のるかそるか─シックスネイションズ フランス×アイルランド

ブルーのマイヨの右腕に黄色いスイセンの花。がん患者支援のシンボルです。テニスプレイヤーのアメリ・モレスモに付き添われて始球式をしたのも闘病中の男の子なのだそうです。小さな花が患者の人達の大きな励ましになります。

Joieedf

「ラグビーは120%メンタル」とは以前スザルゼウスキが言ってたことで、実に「らしいな」と思ったりしたんだけど、まさにそれを目の当たりにしたのが先週末のフランス対アイルランドでした。前半のフランス圧倒的優勢の展開に意気阻喪しかけていたアイルランドが、スクラムでFW戦に活路を見出したとたんに蘇った。40分間のフレンチ・フレアーと40分間のアイリッシュ魂。というか、おととしもあったよこういうの…

ワールドカップ以来のスタッド・ドゥ・フランスの観客との再会に、フランスのコーチ・トリオはスコットランド戦でベンチスタートだった5人のワールドカップ組をスタメンに入れてきました。そしてムンディアリストはやはりムンディアリストだったのでした。スクレラのキックと決定的なパス、ルージュリーの度肝を抜くような突破と快走。ルージュリーは代表ではこのところずっとボーダーライン的な立場に甘んじてきましたが、コレが彼の強み。スザルゼウスキとマスが入った1列は安定し、ボネールは特にラインアウトで欠かせない存在であることを改めて示しました(スローワーがあれだしなァ…)。ソリッドな守備は今のところはラポルトの遺産かもしれません。
ゲームプランそのものはスコットランド戦とほぼ同じ。積極的に回してくる切れ味鋭いフランスです。引き続き神がかっているクレールがまたも絶妙のコンビネーションから3トライを挙げ、前半終了時点で19-6とリードします。クレールのオレンジのシューズは魔法の靴なんじゃないの、なんて書いてた記事もあったけど、ここまでの展開はまさしくそんな感じ。

しかし後半に入って様相は一変します。フランスは開始後間もない46分に1番2番を入れ替えますが、ここからスクラムが安定感を失っていきます。49分にエリサルドのキックから好調エマンスがトライを挙げてリードを広げますが、スクラムで優勢に立ったアイルランドは勢いを取り戻し、57分にはペナルティトライを奪い、その5分後にはゴールライン付近でのラインアウトからゴリッと押し込み、ウォーレスが魂のピック&ゴーでトライを追加。試合はまったく分からなくなります。ノーサイドの笛が鳴った瞬間のエマンスのガッツポーズが、後半のフランスの苦しー試合展開を物語っていました。どうにかこうにかフランスが逃げきり、終わってみれば26-21。

2年前に同じスタジアムでアイルランドの大逆襲に会った時の原因は、主に大量リードしてからイージーな交代を行ったことでしたが、今回のコーチングについてもやはり疑問が投げかけられています。早すぎる1列の交代、厳しい状況下での不慣れな若手の投入、などなど。コーチングに関しては、フォールが「そのように予定されていた」と証言していますが、そうだろうナと思います。試合状況にかかわらずスコットランド戦とほぼ同じ時間帯に1列を替えてますし、いわゆる戦術的交代ではないのかもしれません。

しかし選手に均等な出場機会を与えたかに見えるこの交代策が、図らずも選手個人の責任を浮き彫りにする結果になってしまいました。つまり、スクラムで苦しんだスコットランド戦の前半とアイルランド戦の後半にグラウンドにいたのがプロップのブリュノーだった、ということです。アイルランド戦後半の1列はスコットランド戦のスタメンと全く同じではなく、3番にマスが残り、ブリュノーは本職(らしい)の左に入っていました。ゴールライン際スクラムでアイルランドにペナルティトライを与えるファウルも犯し、打ちひしがれたブリュノーは試合後のウィニングランにも加わらず、まっすぐロッカールームに帰ったといいます。
実のところ、新代表の大胆(すぎる)な選手起用で個人的に一番心配だったのがこの点です。新人のデビューはデリケートなものだろうし、そうでなくとも世論は移り気で、今日の期待の星も失敗すればたちまち過去の人になってしまいます。コーチ陣は「あくまでもチームの問題」と強調してブリュノーを擁護しました。

言うまでもなくスクラムは8人で組むものですが、メディアがいつになく「個人の弱さ」を問題にする背景には、新スタッフのサプライズな抜擢人事に対する多少の不安感があるようにも感じます。マルコネ、ドゥヴィリエ、ミルー、プクスといったインターナショナルレベルのプロップを怪我で欠くという状況はあるにせよ、たとえばフランス最強の2列といわれるチオンの不在が響いているのでは?…といったような。レキップのコンサルタントであるベネゼク氏は、フロントファイブの働きが不十分なのは明らかだと指摘し、「新人のうち、このセクターで唯一満足できるのはフォールだけ」と言います。
いずれにせよ、きょうびやはりFW戦で勝てないとどうにもならないネ、ということなのですが、必然的にクラブで復帰しているマルコネ待望論が高まっています。しかしスタッド・フランセのランドローコーチによれば、マルコネたんは「イングランドみたいなチームと対戦するにはまだちょっときついんじゃないかな」。というか今スタッド・フランセはプロップがフッカーやってるような状況らしいんですけど…

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Comments

>「ラグビーは120%メンタル」とは
まさしく、後半あんなことになるとは.. 監督ニコニコしてましたが、私はほぼつんのめって見ておりました。見事な起承転結..

>クレールのオレンジのシューズは魔法の靴なんじゃないの
背中の11番もほっとしてます。これでは当分ソバドは呼ばれそうにありませんね。でもいいです。かわいい新人花盛りで。ブリュノーそうだったですか。そんなの気にしちゃだめだよー(日本語わからないですね)。でもそろそろマルコネお待ちかね。この上パペとポワトルノーが加わるっていうし、見所てんこ盛りで大忙しです。うっかりミシャラク見逃すところでした。リマインドありがとうございましたです。

Posted by: パン | 2008.02.14 at 20:40

シックスネイションズの公式サイトで10分くらいのかなり充実したハイライトが観れることが判明し、何とか話についていけてます。

ディミトリはキックオフからかなり気合入っていましたね。ワールドカップの時も感じたのですが、彼は思い切りの良いタックルをしているので、ハマった時は相手にあった流れも一発で完全に止めてくれます。出来れば最後まで出て欲しかったです。

ワールドカップの時とは違い、良い意味で気楽に観戦出来ているのは私だけでしょうか?

Posted by: シャベル | 2008.02.14 at 23:05

パンさん

愛蘭との対戦はこれがあるから最後まで気が抜けないですー。図らずもそれぞれの「らしさ」が交互に出た試合でしたが、最後は本気でビビタ…

クレールのシューズはきっとあれですね、ペルセウスの、かかとに羽の生えたやつ。代表の11番をしっかり引き継いでくれそうですね。ブリュノーにとっては、次はイングランドとの対戦で厳しい試練になりますね。ペナルティトライを与えるのって、プロップには一番こたえるんですって。リエヴルモンは新人のデビューにはもうちょっと気を遣ってあげてほしい気もするのです…

パペナレの2列強そうですね。ポワトルノーも、親友ミシャラクがいない分までフランスの伊達男セクターをしょって立ってもらいたいです!シャークスのミシャラク、楽しみ!

Posted by: つき | 2008.02.15 at 15:50

シャベルさん

>シックスネイションズの公式サイトで10分くらいのかなり充実したハイライトが観れることが判明

あ、そうか、それがあったのですね!フランスの展開ラグビーはいかがでしたか。シックスネイションズは毎年ある大会なので、私もワールドカップほど結果にこだわらず純粋に試合を楽しめています。とにかく「勝つことが名誉」みたいなところのあるワールドカップとは、名誉の意味合いがちょっとだけ違いますね。

>彼は思い切りの良いタックルをしているので、ハマった時は相手にあった流れも一発で完全に止めてくれます

嬉しい評価です…。あの体格ですが走ると早いしパワーもあるし、加速のついたタックルはなかなかキョーレツなのではないかと思います。柔道経験者だそうですヨ。欲目かもしれませんが、FW戦で彼が入ってると安心感があるのです。あの運動量だと80分は無理なのでしょうか、大体途中で交代してしまうのが残念です。

Posted by: つき | 2008.02.15 at 18:22

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