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2008.02.05

 Allez les petits! ─シックスネイションズ スコットランド対フランス

Heymansclerc「前途有望」─というのが、マレーフィールドでスコットランドに27-6で勝利を収めた新生フランス代表に対するメディアの評価です。全体的な印象として、ダイナミックで魅力的なゲームを取り戻したレ・ブルーはワールドカップ後の完璧なスタートを切った、との評。フランスがスコットランドにリードを許したのは序盤の7分間のみでした(3分のダン・パークスのDGから10分のクレールのトライまで)
もちろん各セクターを個別に見ればすべてがパーフェクトというわけではなく、特にキックやスクラムでは苦しみましたが、前半の終わりにそれほど難しくないPGを立て続けに2本外したエリサルドは足首の痛みと戦いながらのプレーだったし、スコットランドのパワーの前に劣勢だったスクラムは後半に2番と3番を入れ替えて改善されました。3番プロップのブリュノーは右も左もできるポリバレンスだけどもともと右が本職ではないようで、ほとんどぶっつけ本番のフロントローの苦戦は予想の範囲内であろうと。

新スタッフの要求に答えてチームはキックに依存することなく積極的に仕掛け、その意欲のいくつかがマニフィークなトライにつながっています。1つ目と3つ目のクレールのトライ(10分、63分)はFBに入ったエマンスとの絶妙のコンビネーションから。また2つ目のマルジューのトライ(22分)は、ジャケの早いリスタートを受けゴールライン前のスペースに蹴り出して走ったマルジューのふところにバウンドしたボールが飛び込んでくるというラックもありましたが、積極性がツキを呼び寄せる例かもしれません。
準備期間がほとんどなかったこともあり、フランスの3つのトライはいずれも主に好調のクラブのチームメイト同士(トゥールーザンとクレルモントワ)の呼吸によるものでした。フランス、スコットランド両チームとも不確定要素が多いため、おそらく相手の分析をするよりは、リスクを恐れずチームの“コンセプトを見せる”ことを重視したゲーム運びだったのではないかと思うんですが、その点でフランスが現状地力で上回ったということなのかもしれません。「前途有望」とは言うけれど、今後フランスのオートマティスムが成熟していくのか、それともやはり例のごとく徹底した“モダンな”分析に封じられていくのかはまだ分からないところです。

期待の若手では、トランデュックは21歳初キャップとは思えない落ち着いたプレーぶりで、しかもなかなか強気。デビュー戦としては申し分ない内容でした。そしてカワイイ。後半65分にエリサルドと交代したパラはさすがにちょっと上ずってましたが、まだ19歳。ウエドラオゴもラインアウトやディフェンスで良い評価をもらっています。
ベンチスタートのワールドカップ組も、交代で入ってそれぞれのセクターで存在感を示していました。劣勢のスクラムを立て直したマスとスザルゼヴスキ。ラインアウトのスペシャリストぶりを見せたボネール。あわやパターソンのトライという場面を寸前で止め、またクレールの3トライ目で絶妙のパスを出したスクレラ。ルージュリーにとってはもう少し時間がほしかったでしょうが、終盤クレルモンのチームメイト、マルジューに良いパスを出す場面もありました。

スコットランドもまた意欲的でしたが、大事なところでハンドリングエラーが多かったのが惜しまれる点でした。しかし両者が互いをよく受け止め、しっかり組み合った好ゲームだったのではないかと思います。ワールドカップの後、いろんな意味でシックスネイションズ独自の成熟を改めて感じさせられた一戦でした。

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Comments

見たかったですね~。
スカパーに入っていないので仕方ないと思っていましたが、内容を聞いてどうしても見たくなりました。
日本国内の評価も概ね好評です。
生島淳さんのブログでは「えっ、なんでW杯でこれをやらなかったの?」なんて書いてありました。
なおさら気になりますねー。

Posted by: シャベル | 2008.02.05 at 22:20

つきさんのレポート心待ちにしておりました。客観的というか冷静でさすがですね。そうですか、エリサルドは怪我してたんですか。キックを外したときはTV5のアナウンサーに「ありゃりゃりゃ」って言われてましたが..

>新スタッフの要求に答えてチームはキックに依存することなく積極的に仕掛け
とっくりのセーター着たリエヴルモンまるで熱血教師みたいですね。前監督が秘密基地の司令官みたいでしたからなおさらでしょうか。

ついカメラがとらえてしまうトランデュックの試合度胸も頼もしいですね。華もありますし。パラは私には不思議な印象で、あの佇まいがなんとも気になってしまいました。まだ何か隠してる??

既存組も熱かったですね。ディミトリは出てきたとたんブルドーザーのように押しまくってすっかり頼もしいお兄さんに!

>今後フランスのオートマティスムが成熟していくのか、それともやはり例のごとく徹底した“モダンな”分析に封じられていくのかはまだ分からないところです。

本当そうですね。2戦目となる今週末が楽しみです。

Posted by: パン | 2008.02.06 at 10:24

シャベルさん

これは見ていただきたかったですー!これだけ自陣から積極的に回していくフランスは、ここ数年で初めてです。ワールドカップのちぐはぐなプレーぶりを思い出すにつけ残念でなりません…。

ようつべにハイライトが上がっていました。
http://jp.youtube.com/watch?v=GaSeiETjW8s

こういうリスクを恐れぬ試合が観られるのも、ワールドカップが終わってすぐの大会ならではかもしれませんね。シックスネイションズのフランスの試合は、パンさんがお書きになっているようにTV5で観るテがあるようですヨ。詳しいことが分からず申し訳ないのですが…
http://www.tv5monde.jp/

Posted by: つき | 2008.02.06 at 17:45

パンさん

素人の感想メモですので、いろいろとアレな点は大目に見てやってくださいsweat01
エリサルドはここしばらく足が痛いんだそうで、試合中もしかめっ面していましたね。あのキックを外した時には私もオララ~…

>リエヴルモンまるで熱血教師みたいですね
確かに~。ラポルトが長かったし、フランスはフットの代表監督もアレなのでリエヴルモンみたいなタイプは逆に新鮮です。
パラはワタシも気になっております。上背があって、ちょっと違ったタイプのSHでしたね。大舞台に慣れればまだまだ化けそうなポテンシャルを感じました。かわいいし!(やっぱりそこなのか)

>ディミトリは出てきたとたんブルドーザーのように押しまくって
50分間ベンチで溜めに溜めたものが炸裂してましたね。あのパワーをうまくコントロールできないタイプなんだと思うんですけど、フランスみたいなチームには、1人はこういう選手がいてもいいんじゃないかな、と思ってるのであります。

次はアイルランド戦ですね。アイルランドはやっぱりまだ調子が上がってないようですが、好きなチームなので楽しみです。フランスがイングランドみたいなチームを相手にあの展開ができるのか…ドキドキしながら今後を見守りたいと思います。 

Posted by: つき | 2008.02.06 at 18:22

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