« お知らせ | Main | 忘れてた »

2005.10.27

ラブ・ミー、プリーズ・ラブ・ミー

なおも読書日記。多田由美のコミックスを何冊か。

“Men in the Cities”のロバート・ロンゴの、「僕の作品はどれも“動きが取れない”というフラストレーションが基調になっている」っていう言葉を思い出す。不思議な温度。絵の表現は厳しく抑制されているのに、登場人物達はあられもない、と言ってもいいくらいに孤独で寂しく、寄り添う人を求めている。
でもそこには、アメリカ文化のある種のセンチメンタリズム、例えば※スティーブン・マルクマスが奇妙にねじれたユーモアで周到に回避しようとする「それ」に陥ることを、ぎりぎりで免れている、切実さがあるようにも思う。

動きを表現する動線とか効果音とか、そういった記号は一切使われていない。『雪風』などは、原作を知らないので設定がよく分からないところもあるんだけど、それはそれで多田由美の表現になっているんだろうと思う。多分、説明的になるのが好きじゃない人なんだな。おそらく、SFというよりは登場人物の心理描写に重きが置かれている。
大体一般的に、文章表現とヴィジュアルな表現は全くの別物だということが分からない人が多すぎる。再現じゃなく、再構築、でしょう。

みんな寂しい。『冬のセーター』で最後に1つに寄り添う兄弟は、ゴッホと弟テオのイメージだろうか。

「灰になるまで」 多田由美(河出書房新社)
「YUKIKAZE」 神林長平原作、多田由美(早川書房)


※ペイヴメント“Shady Lane”の日本語対訳の、「君が凍えて泣いている姿はなんて美しいんだ」という部分、曲を聴かなくてもなんとなく、誤訳じゃないかな、と思ってしまうのは、マルクマスが「凍えて泣いている」君は美しい、なんてセンチメンタルな歌詞を書くわけがない気がするから。
you're so beautiful to look at when you cry freeze. Don't move...ではなくて、you're so beautiful to look at when you cry. Freeze, don't move...、か。

|

« お知らせ | Main | 忘れてた »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/91018/6649133

Listed below are links to weblogs that reference ラブ・ミー、プリーズ・ラブ・ミー:

« お知らせ | Main | 忘れてた »