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2004.03.14

 ディスクレビュー スティーヴン・マルクマス

ReviewmalkmusStephen Malkmus "Stephen Malkmus" (2001)

ペイヴメントの音を初めて耳にした時は、実際ああまたソニック・ユースかザ・フォールのフォロワーか、くらいにしか思わなかったし、そのいかにも脱力的なスタンス(ライヴで何の曲を演奏しているのかさえ分からなかったりする)が鼻について、そう好みというわけではなかったのだけど、ある時、駅近辺の雑踏の中で聞き覚えのある歪んだギターの音が唐突に耳に飛び込んできて、それが何だかとても、街の光景と気分にフィットしていた。20世紀も終わりに近づいた、90年代の都市の街角のBGMに相応しい音だ、なんて思ってしまったのだった。

とかくやる気のなさばかりが言われるバンドだけれど、実際それでは5thアルバムまではもたないだろうわけで、振り返って見れば、その音楽に対する姿勢はいたって真摯なものだ。そういった諸々のシリアスネスを、おそらくはある種のデリカシーから、奇妙なユーモアではぐらかしながら成立する、彼らの音楽は実はそういったものだった気がする。
“Stereo”のプロモーション・ヴィデオは、演奏が終わった所で、ヴォーカルのスティーヴン・マルクマスが何にともなくフンと鼻で笑うシーンで終わるのだが、それもいかにもペイヴメントらしい。

あくまでも自分にとっては、ペイヴメントとしての最後のアルバム“Terror Twilight”は、彼らの中で何かが終わってしまったことを予感させる作品だった。当時“Terror Twilight”を一聴して思ったのは、「随分普通になったなあ」ということ。洗練でも進化でも深化でもなく、ただ、「普通」。同時に曲はよりメロディアスになり、その点では、バンドの中心人物でもあるマルクマスが解散後にリリースしたソロ・アルバムの方向性は納得できるものだった。

このソロ・プロジェクトは少なくとも、マルクマスにとってかなり楽しめるもののようだ。ペイヴメントのクールでインテリジェントなユーモア感覚からすると、ちょっと臆面もないほどに軽薄、というか、軽率とも言うべきムードがアルバムを支配している。音楽的にはそれほど劇的な転換はないように聴こえるのだが、でもこれペイヴメントでは絶対にやらないだろうな、という音であることがポイントだろう。
ペイヴメントの非常にナイスでハイレベルなヘタの芸能を最終的に成立させていたのが、このマルクマスの切ないまでにへろへろな比類なきヘタ歌唱、いやむしろメタ歌唱だったのだけれど、ここでは彼のヴォーカルも幾分、歌を志向しているようだ。

唐突に男前なジャケットの写真が本気かジョークかも判然としないのと同様、音の方もその目指す所はよくわからない。この人のやることなのでつい裏を探ってみたくなるのだけど、ここはそのままを素直に受け取った方がいいのかもしれない。やはりかなり風変わりな音楽ではあるけれど、まったく自己完結的でないという点は評価できるのではないだろうか。

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