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2003.12.28

 絶えて賀状のなかりせば

暮れの心はのどけからまし。
最近はさすがに印刷で済ませているけど、以前は毛筆で年賀状を書いていました。しかしこれには、猫という手ごわい障害があるのです。

墨をすっていると、どこからともなく「ナニシテルノ!」という意欲満々な顔でやってきて、ぴったり横に座って身を乗り出して手元をのぞきこんできます。単に筆先がちょいちょい動くのがたまらないのかと思ったのだけど、特に手を出すわけでもないし、とにかくずっと、「ものすごく」、見ている。こっちはそれでもいつ手を出されるかわからないし気が散るし、いたずらに書き損じの山を重ねるだけで、このくそ忙しい年末に、猫の手は貸すと言われても御辞退申し上げたいのは言うまでもないことです。
世の中には玉毛(ズバリ猫の毛)の筆っていうのもあってね、貫之(伝)の高野切は猫の毛で書いてあるんだよネコチャン、なんて意地悪を言いながらの宛名書きは、まあ楽しくないとは言わないけれど。

某直木賞作家の短編を映像にしたとかいうキャットフードのCMがしばらく前に流れていて、執筆中の売れない作家の傍らに座って原稿を読む猫の話が、例によって‘泣かせのテクニック’満載で語られるのだけれど、単に、猫はそういう状況が好きなだけなんだと思う。
新聞を広げると上に猫が乗ってきて読めない(興が乗ると新聞の下にズザーとスライディングしてくる)というのはよく聞く話で、猫にとっては人間が何か1点に集中しているのが面白いのかもしれません。

キュリオシティ・キルド・ザ・キャット(好奇心は猫をも殺す)とはよく言ったもので、実際猫の好奇心というのは、飼い主にとっては時に悩ましいものです。目先の興味にかられた挙句、後先考えずに高い所に登って進退窮まったり、絶対通過不可能な穴に首を突っ込んだりして、ドウシヨウドウシヨウと鳴きわめく猫を救出するのは人間、もっと正確に言えば消防隊の仕事になるわけです。
猫にまつわる様々なニュースを集めた「ニュースになったネコ」という本には、そんな消防隊と猫の濃密な関係を物語る(珍妙な)エピソードが数多く収められていて、猫ばかりでなくイギリス人の気質や動物とのかかわり方を知る上でも面白い本です。フットボールネタでは、リーズ・ユナイテッドのジョン・ピアソン選手は愛猫の親権(?)を勝ち取れるのか?なんて話も。

マーティン・ルイス著 「ニュースになったネコ」 (ちくま文庫)

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