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2003.02.01

 ディスクレビュー ティーンエイジ・ファンクラブ

ReviewtfcTeenage Fanclub
"Thirteen" (1993)
"Four Thousand Seven Hundred and Sixty-six second"(2002)

ティーンエイジ・ファンクラブ(以下TFC。トゥールーズFCではなく)の魅力を一言で言えば、「偉大なるアマチュア主義」に尽きるんじゃないだろうか。それがちょっとカンにさわる時があるという点では、私はあまりいいTFCの聴き手ではないのかもしれない。

デビュー作“A Catholic Education”(90年)、2nd“Bandwagonesque”(91年)くらいまでは、いわゆるグランジの影響を強く受けた(というかそのまんまダイナソー・Jr.なんだが)ノイジーでゆるいポップ・バンドだったのだけど、以降は徐々に、もともとの美しいメロディとコーラスを前面に出した、シンプルな音に移行している。
最近の新人バンドを聴いていると、「で、ほんとのところ曲作れるの?」と思うことがしばしばなのだけど、TFCはそれはもう愚鈍なまでに、一貫してソングライティングを重視しているバンド。スコットランド・グラスゴーのフレンドリーな音楽シーンの出身のためか、(アルバムタイトルに反して)あまり時流に乗ることは意識せず、一ミュージシャン、一音楽ファンとしてやりたい音楽を貫いているようだ。

以前メロディ・メイカーのバンドファイルで、ノーマン・ブレイク(vo.g)はフェイバリット・バンドとしてBMXバンディッツ、パステルズ、ユージニアス、スーパースター等を挙げ、完璧にローカルなセレクトで呆れさせてくれたが、TFCのオフィシャルな略歴がバンド結成の辺りで妙に曖昧になっているのは、この周辺のいくつかのバンドが流動的な1つの大きなバンドみたいな感じだということなのかもしれない。そこで培ったアマチュア根性のもとにメジャー・シーンで勝負しているTFCというバンドも、やはり最初からボタンを掛け違えたような存在なのだ。

そう言えば以前、全曲カヴァーのオムニバス企画盤で、この人たちがバーズの“Mr. Tambourine Man”を演奏しているのを聴いたことがあるのだが、これがもうカラオケと言って差し支えないシロモノだったように記憶している。他の参加ミュージシャンが原曲を自分の土俵に引き込もうと四苦八苦する中で、ぬけぬけとそのまんまの“Mr. Tambourine Man”をやったTFCは、しかし何だか異様に楽しそうで、そこだけが批評の亜空間と化していたものだった。
彼らがこのような企画盤の中にあって、時としてある種の過激な存在感を放つとしたら、仮にもいっぱしのプロだったら絶対にできないと普通は思う、愛と内輪の楽しみのみに支えられたピュアな一音楽愛好家的姿勢が、何の疑いも見栄も体裁もなく、極めてマニアックに炸裂しているからである。

「しかしプロがそれでいいんだろうか」、と言うのも無粋な気がしてはばかられるのだが、バンドも3rd“Thirteen”以降多少の迷いを覗かせる時があり、のほほんとしているようで、ただ純粋に音楽を楽しむというスタンスを保ち続けるには、案外努力が必要なのかもしれない。

そういえば先日、更新日記のページに、“Thirteen”のジャケットはジェフ・クーンズのパロディでいいんだよね?なんてことを書いたのだけど、その後いただいたメールによると、どうやら本当にそうだったらしい。確か“Bandwagonesque”ではジャケットデザインの盗作疑惑で訴えられたか何かしたはずなのに、懲りないというかなんというか。

ジェフ・クーンズは80年代アメリカのシミュレーショニズム(既存のイメージを流用し、オリジナリティという神話を形骸化する・・・で説明合ってる?)などと呼ばれたアート・ムーヴメントの代表的なアーティストで、“Thirteen”の元ネタになっていると思われるのは、スポルディングのバスケットボールを水槽に浮かべただけの作品。
でもそれは確かに、ビッグ・スターそっくりだと叩かれもした彼らがアレックス・チルトンの曲名をそのままタイトルにし、さまざまな既視(聴)感覚を伴いながら、いきなり開き直ったかのようなT-REXの流用で始まるこのアルバムにふさわしいデザインかもしれない、というか彼らもまた意外にしたたかなのだ。

ここでは02年にリリースされたベスト盤を。基本的に、曲はノーマン・ブレイク、ジェラルド・ラヴ(b)、レイモンド・マッギンリー(g)の3人がそれぞれ書いて、それぞれヴォーカルをとっているのだけど、個人的にはジェラルドの曲と声が好き。
それにしても、Foot!の前のエンディング・テーマは、まるっきりノーマン・ブレイクみたいだった。

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